心臓・血液の病気 - このカテゴリーに関連するニュース・情報

下記の内容は、当サイトがWeb上の英語で書かれたニュースや記事を独自に訳したものであり、当サイトはその内容、翻訳の正確性に関して一切免責とさせて頂きます。この点をご理解の上、参考になさってください。また、この翻訳文の無断利用はお控え下さい。

2013-03-14

ソース(記事原文):メッドペイジ・トゥデイ

米国心臓病学会(ACC):ジゴキシンが心不全による入院率を低下

メッドペイジ・トゥデイ(2013年3月14日)― 特別編集員クリスタル・フェンド(Crystal Phend)著

監修:ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院(Perelman School of Medicine)名誉教授ザルマン・アガス(Zalman S.Agus)医学博士、看護プランナー(Nurse Planner)ドロシー・カプト(Dorothy Caputo)

サンフランシスコ -- ジゴキシンが心不全の高入院率を解決に導く一端となりうることが、DIG試験のサブ解析で示唆された。

アラバマ大学バーミングハム校(University of Alabama at Birmingham:UAB)VA医療センターのアリ・アハメド(Ali Ahmed)博士らは、メディケア(老人医療保険)受給年齢の心不全患者における原因を問わない30日以内の入院率は、ジゴキシン群で5.4%まで低下したのに対し、プラセボ群では8.1%であったことを明らかにした(P=0.002)。

同氏が米国心臓病学会(ACC)の学術集会で報告したところによれば、この34%の相対的低下は、病院の収支決算にとって重大となりうるものである。なぜなら、30日以内の再入院率が高すぎる施設に対しメディケアが償還額を削減することになったからである。

最新臨床研究報告会(Late-breaking Clinical Trial Session)で、ジゴキシンの治療成績は、退院後の再入院や死亡またはその他のイベントといった犠牲を払うことなしに持続した、と同氏は報告した。この結果は、医学誌アメリカン・ジャーナル・オブ・メディシン(American Journal of Medicine)オンライン版にも時を同じくして発表された。

同氏は「急性代償機能障害後に退院した同年齢の高齢心不全患者において、今回の結果を再現できれば、原因を問わない30日以内の再入院率を低下させる安価な手段としてジゴキシンが提案される可能性がある」と学会出席者に語った。

共著者でシカゴにあるノースウェスタン大学(Northwestern University)のミハイ・ゲオルギアド(Mihai Gheorghiade)博士がメッドペイジ・トゥデイ誌に語ったところによれば、高齢患者集団で低用量を維持すれば、この安価な薬剤に認められる毒性が最小になるという。

同氏は「利用可能な治療法を用いても、心不全の徴候や症状がなお持続する患者には、ジゴキシンを試すべきだと結論せざるをえない」としている。「安価な薬剤であるほか、低用量を維持すれば毒性は存在したとしても極めて少ない」

しかし、今回の結果が臨床診療に影響を及ぼすのではないかという点については、他の学会出席者は納得しなかった。

ジゴキシンは、初回DIG試験結果が出た1990年代に約90%の使用率であったのが、年月を経て現在約25%まで減少した……こうした変化は、心不全入院率の低下に関するガイドラインにおいて本剤がクラスIIaに降格(絶対的推奨から積極的推奨へ)されたことが一因となっている。

ハーバード大学医学部系列のブリガム&ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)のエリオット・アントマン(Elliott Antman)博士は「DIG試験が実際に行われたのは、心不全に対して今ほど多くのことが行われなかった時代である。現在はACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、アルドステロン拮抗薬が、当時よりもはるかに積極的に使用されている」と述べた。

同氏は「これらの薬剤に加えて、あらゆる面で現在の方が優れている診療体制の下で、依然としてジゴキシンが再入院の予防に役立つのかという点に疑問が生じる」とインタビューで語った。「日常的な方法に取り入れる前に、そのことを確かめる必要がある」

ヒューストンのベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)のバイケム・ボウズカート(Biykem Bozkurt)博士によれば、今回の再解析は、周知の事実を繰り返し論議したものにすぎず、この疑問に答えるものではないとしている。同氏は今回の講演討論会に参加していた。

同氏は「これまで通り現状維持の予定である。ガイドラインが見直されることはない」とメッドペイジ誌に告げた。

フィラデルフィアにあるペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)のマリエッラ・ジェサップ(Mariell Jessup)博士はこれと同じ見解を示し、ジゴキシンへの後戻りを広範囲に実施する前に、今回の結果を再現する必要があるとしている。

「現代における医療管理を用いた新たな試験が実施されるまでは、手放しで受け入れられるような治療ではない」と注意を促した。ただし、心不全再入院リスクを低下させることは非常に重要な目標であると指摘した。

アハメド氏の後付解析では、正常洞調律で駆出率も保持された慢性心不全の通院患者6,800人からなる最初の集団のうち65歳以上の患者3,405人が対象とされた。

DIG試験の主な結果から、ジゴキシン群に無作為に割り付けられた患者は、プラセボ群と比較して、原因を問わない入院が3パーセントポイント有意に低下し、心不全による入院が8パーセントポイント低下したことが示された。

サブ解析では、メディケア受給年齢群における原因を問わない入院は、30日以内の入院でジゴキシン群の方が2.7パーセントポイント低く、90日以内でも引き続き心不全のジゴキシン群で25%低かった(P<0.001)。

本剤は心血管系の原因による30日以内の入院リスクにおける47%低下に関連し、具体的な入院率はジゴキシン群6%に対し、プラセボ群8.7%であった(P=0.003)。

心不全悪化による入院は、ジゴキシン群の方が2.5パーセントポイント低く、相対減少率は60%(ジゴキシン群1.7%対プラセボ群4.2%)であった(P<0.001)。

原因を問わない死亡率もまたジゴキシン群で低い傾向がみられたが、30日時点における45%のリスク低下は有意ではなかった(P=0.096)。

進行した心不全による死亡では、プラセボに対するジゴキシンの優位性を示す傾向が認められたが、やはり有意でないことが示された(ハザード比0.22、P=0.056)。

原因を問わない死亡または入院リスクを統合すると、31%の差で有意性が示された(6%対8.7%、P=0.003)。

ジゴキシンによる毒性が疑われ30日以内に入院した患者は合計4人となり、うち3人がジゴキシン群であった。

メディケア受給年齢の被験者における複数のサブグループ解析では有意差がなかった。ただし、アントマン氏は主要試験の一部の患者群(高齢者や肥満度指数の低い患者など)において高用量が招く有害作用の兆候を指摘した。

アハメド氏は今回の結果が、最近退院した患者のものではなく、通院患者集団から得たものであることを認めた。したがって、再入院率の低下に直接つながるものではないと考えられる。

これ以外の欠点として、この集団がACE阻害剤や利尿薬で奏効したものの、β遮断薬やアルドステロン拮抗薬は投与されていなかったことがある。


この記事に関連するくすり屋さん取扱商品

- ラノキシン (ジゴキシン) 250mcg (インド製) (10錠) 120 円

- ラノキシン(ジゴキシン)250mcg(ニュージランド市場向け) (240錠) 2680 円