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2013-10-01

ソース(記事原文):メディカル・エキスプレス

5年以上のタモキシフェン服用はすべてのER陽性乳がん女性に有益なことを研究で確認

メディカル・エキスプレス(2013年10月1日) ― タモキシフェンを推奨の5年に加えてさらに5年間服用することは、リンパ腺への転移がない乳がん(リンパ節転移陰性乳がん)だけでなく、手術時にリンパ節転移が判明した乳がんの女性にも有益であるという。欧州がん学会2013(European Cancer conference : ECC)で発表された、バーミンガム大学(University of Birmingham)の最新研究が示した。

タモキシフェンを5年だけではなく10年服用している女性では、翌5年にわたり乳がん死のリスクが半減する。この有益性は最も多いタイプであるホルモン感受性乳がんの女性に限られるが、すべての年齢層でみられる。

今年6月にはキャンサー・リサーチUK(Cancer Research UK)の研究が、ER陽性乳がんで推奨の5年よりも長くタモキシフェンを服用している患者のほうが再発は起こりにくく、乳がん死の可能性も低いことを示している。

そして今回、乳がんのリンパ節転移が陰性でも陽性でも、また閉経前でも閉経後でも、すべての女性でこの有益性がみられることを研究者らが明らかにした。アロマターゼ阻害薬(比較的新しい抗ホルモン薬)は閉経後女性にしか効果がないため、若年層のほうがタモキシフェンへの依存度は高いことから、これは特に重要である。

『aTTom』試験で調査対象となったのは乳がんの女性約7,000名で、彼女らはタモキシフェンを5年間服用した後、さらに5年間服用を続けたか、あるいは治療を中止した。

タモキシフェン5年服用群と比べて、10年服用群では10年後の乳がん再発が25%少なく、死亡も23%少なかった。

バーミンガム大学の主任臨床研究者、ダニエル・レア博士(Dr Daniel Rea)が9月29日、アムステルダムで開催のECC年次総会で最新結果を発表し、こう話した。「リンパ節転移が陰性の乳がんは、陽性の乳がんよりも一層多くみられるようになっています。ですから、転移陰性の乳がん女性が臨床的に有益な効果を得られる、という所見は重要です」。

「タモキシフェンは安価で広く利用可能なため、この所見がすでに実行に移されていることもあり、乳がん治療への影響はすぐに及びます」。

「今や、医師がさらに5年間タモキシフェンを継続するよう勧める可能性は高く、その結果として世界中で乳がん再発や乳がん死がさらに減少するでしょう」。

乳がんの約75%はエストロゲン受容体陽性であり、ホルモン療法で効果が得られる。女性ホルモンのエストロゲンは、エストロゲン受容体を活性化して乳がんの増殖を促進してしまう。タモキシフェンはこの受容体をブロックして、乳がんが術後に再発したり、もう一方の乳房にも発症したりする可能性を減らす。

タモキシフェンには乳がん再発を防ぐ効果がある一方で、副作用もある。タモキシフェンを服用している女性は、寝汗やホットフラッシュといった閉経期症状と類似の副作用を経験することがある。また、稀ではあるが重篤な副作用として、子宮体がん(子宮内膜がん)、血栓症、脳卒中のリスク増加がある。医師と患者は、タモキシフェンを継続することのリスクと利益を、それぞれ個別に評価する必要があるだろう。

この試験では、10年間のタモキシフェン治療に伴う脳卒中発生率の増加は認められなかったが、子宮体がんリスクについては増加した。

子宮体がんは早期に発見されることが多く、その場合は通常、治癒可能である。さらに研究者らの推定によれば、長期タモキシフェンの副作用として起こる子宮体がん死1件当たり、予防できる乳がん死は30件である。リンパ節転移陰性乳がんのように再発リスクは低いとみなされている場合でも、再発リスクの減少という結果が5年以上のタモキシフェン服用は臨床的に価値があることを示しているため、やはり、長期タモキシフェンは妥当となる可能性がある。

今年6月にASCOでaTTom試験の初期結果を発表した、オックスフォード大学(University of Oxford)在籍のリチャード・グレイ教授(Professor Richard Gray)はこう語っている。「タモキシフェンの5年服用はすでに優れた治療法となっていますが、より長期にわたって投与しても、さらなる利益とはならず、むしろ有害かもしれないという懸念がありました。ホルモン感受性乳がんの女性ほぼ全員にとって、タモキシフェン10年服用の利益はリスクを大きく上回ることを、aTTom試験が確立しています」。

キャンサー・リサーチUKの臨床研究ディレクター、ケイト・ロウ(Kate Law)はこう話す。「タモキシフェンなどの薬の効果の程度や、その最適な使用方法を理解するために、aTTomのような大規模臨床試験は極めて重要です。がん治療薬の効果が、起こりうる副作用を上回ることを確認できるように、こうした大規模な試験が私たちには必要なのです」。

aTTom試験は、医学研究審議会(Medical Research Council)からも資金提供を受けた。


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