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2011-06-01

ソース(記事原文):バイオサイエンス&バイオテクノロジー国際学術誌

ルンブロキナーゼ ― 強力かつ安定的なフィブリン特異的プラスミノーゲン活性化因子

バイオサイエンス&バイオテクノロジー国際学術誌(2011年6月Vol.3、No.2)― マヘンドラ・クマール・ヴェルマ(Mahendra Kumar Verma)1、 KK・ピュリチャーラ(KK Pulicherla)2著

RVR&J C工科大学(インド、アンドラプラデシュ州Chowdavaram, Guntur-522 019)

1 バイオテクノロジー学科講師

2 バイオテクノロジー学科長・教授

抄録

心障害と脳血管障害は世界各地で毎年約2,600万人の死者を出しており、世界規模で死亡率が高いというだけでなく、合併症の原因にもなっている。心筋梗塞、脳血栓症、静脈血栓塞栓症などの致死的合併症は、血栓溶解療法により良好な転帰が得られる。生体システムが健常な場合はこうした症状を克服する能力があるのに対し、防御因子と攻撃因子の不均衡が存在する場合は体循環中に血栓を生じる。そこで、血栓溶解薬がプラスミノーゲン(不活性なプラスミン)を変換する人工プラスミノーゲン活性化因子として重要な役割を担う。血栓溶解薬は不活性プラスミノーゲンを活性プラスミンに変換することにより血栓を溶解する。プラスミンは、フィブリン凝塊(血栓)を溶解する一方、止血系の正常な構成要素を分解することもあり、別の致死的な症状または死をまねきかねないことから、他でもない循環血液中の血栓を特異的に溶解する薬剤が必須となる。

キーワード:血栓塞栓障害、プラスミノーゲン活性化因子、ルンブロキナーゼ、ミミズ線維素溶解酵素

1. 緒言

循環系に生じる血餅(血栓)は、血管閉塞を引き起こすことがあり、死亡をはじめとする重篤な症状につながる。2008年~2010年に世界保健機関(WHO)が出した報告によれば、心障害および脳血管障害に起因する死亡数は、その他の障害または疾患よりも比較的高いという。健常な恒常性システムは正常な血液循環において血栓の発症を抑制するが、血管損傷時には失血を阻止するに十分な反応を示す[1] 。止血不能の結果生じる症状には、脳卒中、肺塞栓症、深部静脈血栓症、急性心筋梗塞などがある。止血不能や血栓発現などの病態には、臨床的介入が必要とされるので人工血栓溶解薬が投与される。こうした血栓溶解薬の1つにルンブロキナーゼがある。それ以外の血栓溶解薬(線維素溶解薬)には、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)などがある[2]。

リスクを最小限に抑えた効果的な血栓溶解薬を発見しようとする先進的研究が行われており、様々な血栓溶解薬を用いた数多くの試験が実施されているものの、目標達成には至っていない。ほとんどが不成功となる理由には、特異性、副作用、またはコスト要因などの側面によるものがある。したがって、こうした基準を完全に満たす薬剤が緊急に必要とされる。多くの研究が実施され有力な血栓溶解薬が模索されてきた結果、有力なフィブリン特異的血栓溶解薬ルンブロキナーゼが発見された。これは致死的な心障害および脳血管障害を治癒させることを目的としたものである。この遺伝子組換えルンブロキナーゼ製剤は、心臓の血栓塞栓障害の治療薬として中国および韓国においてカプセル剤やその他の剤形で長年市販されている[3]。血栓溶解療法におけるルンブロキナーゼの使用は、急性血管閉塞治療における重要な治療補助薬となっているため非常に有望視されているが、世界規模で一般臨床に使用するような段階には至っていない。現時点ではまだ血栓溶解薬の適切な投与方法は確定しておらず、血栓溶解をもたらすプロセスについても十分に明らかにされていない[4]。

本レビューではルンブロキナーゼの生化学的性質ならびに血栓溶解の特性に焦点を当てている。ルンブロキナーゼはミミズの組織内および腸液中の6種類のアイソフォーム(イソ酵素)に存在する真核生物由来タンパク質であり、フィブリン特異的なプラスミノーゲン活性化因子を有しており、これが心障害および脳血管障害を治療する血栓溶解薬となりうるとみられる。



血栓形成

血液の血栓形成とは、制御下で血栓形成および溶解を同時に引き起こすダイナミックなプロセスである。いったん形成された血栓は、恒常性のバランスを保つため溶解されなければならない。正常な血液循環では、必要に応じて血液凝固因子が不活化されて血栓が形成される一方、血栓溶解因子が活性化されてそれが除去される。

図1:血漿タンパク質の段階的反応が血栓形成を制御する(原文参照)

血栓形成は生体システムの防御機構であり、血栓形成における様々な要因と、それら要因の共同作業によって制御されている。血栓形成の包括的メカニズムを説明する仕組みがこれまでに2つ提唱されており(内因系凝固と外因系凝固)、血栓形成のプロセスを達成するための段階的反応を引き起こす様々な血液凝固因子が関与している。要するに、一般に血中を不活性型で循環している13個の因子が、適切なシグナルを受けて活性化される。こうした因子の活性化は無作為なものではなく、段階的に反応するものであり、連鎖的に1つがもう1つを活性化していき、最終的に可溶性フィブリノーゲンが不溶性フィブリンに変換されることになる。その後、フィブリン溶解因子が活性化され、血栓が除去される[5]。このように健常な生体システムでは、防御因子と攻撃因子との恒常性バランスが維持されるとともに、体循環中でそれらの利用能も維持されている。

2. 血栓溶解療法 (線維素溶解療法)

線維素溶解酵素プラスミンは、大半のタンパク分解酵素と同様、いくつかの異なるタンパク性基質に作用する能力を持つだけでなく、その生理的基質フィブリン、具体的にはフィブリノーゲン、プロアクセレリン、抗血友病因子、プロトロンビン、クリスマス因子(第IX因子)や、その他の血液タンパク質のようなタンパク質性凝固因子にも作用する能力をもつ。しかし、健常な血液循環では、プラスミンはプラスミン-抗プラスミン複合体として抗プラスミン(プラスミン抑制因子)と一緒に存在しており、プラスミン活性を制御する。抗プラスミンの血漿濃度はプラスミンより30倍高く、その他の血漿タンパク質を分解する防御因子として作用する[6]。

フィブリン血栓形成の全生理機能は、比較的よく解明されている。血餅すなわち血栓は、タンパク質フィブリン基質に閉じ込められた血液細胞からなる。血栓溶解療法(線維素溶解療法)とは、血栓溶解を酵素によって制御するプロセスである。哺乳類の血液循環において線維素溶解に関与している酵素は、プラスミンと呼ばれるトリプシン様セリンタンパク分解酵素である[7]。活性化因子の存在下で、線維素(フィブリン)を溶解する活性化プラスミンは、体循環中に存在する不活性タンパク質プラスミノーゲンから産生される。不活性プラスミノーゲンから線維素溶解プラスミンへの生化学的変換は、様々なプラスミノーゲン活性化因子を介するタンパク質の限定的切断を伴う[8]。

通常、血中に自然発生するプラスミノーゲン活性化因子には、組織型(t-PA)とウロキナーゼ型(u-PA)の2つある。循環血液中の線維素溶解活性は、プラスミノーゲン活性化抑制因子(例えばプラスミノーゲン活性化因子阻害物質-1、PAI-1、速効型抑制因子t-PAおよびu-PA)と、プラスミン(例えばa1-抗プラスミン、a2マクログロブリン)によって制御される。遺伝子組換え型の正常ヒトプラスミノーゲン活性化因子t-PAおよびu-PAが、臨床上の治療介入で使用されている。もう1つの一般的に用いられるプラスミノーゲン活性化因子には、ルンブロキナーゼ (l-PA)というミミズの真核生物由来タンパク質があり、フィブリン特異的な血栓溶解作用も有する[9]。

ルンブロキナーゼは別として、t-PAおよびu-PAは直接的な線維素溶解活性を持っていないため、治療的作用を発揮するには血中プラスミノーゲンを活性化させて血栓溶解酵素プラスミンへ変換する。このように、ルンブロキナーゼのプラスミノーゲン活性化作用は、t-PAおよびu-PAがもたらすタンパク質分解活性とは基本的に異なる。つまり、プラスミンは体循環中に常に存在している一方、抗プラスミン(プラスミン抑制因子)との複合体は常時存在しない。その他の血漿タンパク質がプラスミンによって分解されないよう守っているのが抗プラスミンである[10]。

図2:血栓溶解機構における抗プラスミン(プラスミン抑制因子)の役割に関する略図(原文参照)



血栓溶解療法として用いられている現行治療法:

血栓溶解療法の現状は、遺伝子組換えプラスミノーゲン活性化因子もしくはプラスミンに特異的な血栓溶解薬によるものである。現在、臨床適用されているのはストレプトキナーゼ、APSAC(アニソイル化プラスミノーゲン-ストレプトキナーゼ活性因子複合体-APSAC[アニストレプラーゼ])、ウロキナーゼ、scu-PAである。ここ20年間使用されている組織プラスミノーゲン活性化因子には、t-PA、rt-PA(アルテプラーゼ)、r- PA(レテプラーゼ)、TNK-rt-PAがある。革新的な数少ない現在の第三世代薬には、n-PA(ラノテプラーゼ)、bat-PA(ナミチスイコウモリ)、t-PAにモノクローナル抗体を結合した二官能分子がある[11]。



米国食品医薬品局(FDA)によって承認された血栓溶解薬

下記の血栓溶解薬は血栓溶解療法の適応でFDAに認可されており、より優れた治療と併せて臨床で使用されている。

ストレプトキナーゼ
ウロキナーゼ
アルテプラーゼ
APSAC(アニソイル化プラスミノーゲン-ストレプトキナーゼ活性化因子複合体-APSAC)
レテプラーゼ
TNKase(テネクテプラーゼ)

上記に列挙したものは全てプラスミノーゲン活性化因子であり、血中の不活性プラスミノーゲンを活性化し、活性プラスミンに変換し、フィブリン凝塊を分解する。上記の薬物分子はいずれも血栓溶解療法として臨床上使用されており、多数の合併症および副作用が認められている。血栓溶解療法による合併症の理由は、これらの分子のほとんどがフィブリン非特異的であり、本来の健常な生体システムとして正常な恒常性に必要なその他の循環血漿タンパク質もフィブリンと一緒に分解してしまうことである。それ故、依然としてフィブリン特異的な薬剤が模索されているが、それらの1つとなりうるものにルンブロキナーゼがある。ルンブロキナーゼは組織プラスミノーゲン活性化因子を活性化するとともに、フィブリン特異的な血栓溶解作用も有する。一方、遺伝子組換え型の正常ヒトプラスミノーゲン活性化因子t-PAおよびu-PAは、臨床上の治療介入で使用されている。t-PAおよびu-PAは、プラスミノーゲンを直接活性化するトリプシン様セリンタンパク分解酵素であり、分子量はそれぞれ70kDaと55kDa(キロダルトン)の糖タンパク質である。u-PAは腎臓内で生成されて尿中に分泌されるのに対し[12]、tPAは血管内皮細胞によって生成される[13]。組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)は第一選択治療であり、主に遺伝子組換え動物細胞の培養から得られる[14]。

t-PAはフィブリン凝塊への結合性が高いため、循環血液中プラスミノーゲンよりも血栓結合プラスミノーゲンを100倍効率よく活性化させる。したがって、t-PAは、その他の利用可能なプラスミノーゲン活性化因子と比べると循環血液中プラスミノーゲン活性化因子としては劣っている。一方、コスト面でt-PAは高くつく。というのも、このクローニングと発現には真核生物由来タンパク質として動物細胞株が必要であるほか、酵母系および細菌ホスト系では真核生物由来タンパク質の翻訳後修飾ができないためサイズを大きくするのも不可能である。広く認められているプラスミノーゲン活性化因子がないことから、これらを改良した遺伝子組換え変異体の開発がより良い結果を求めて試みられている[15]。


理想的な血栓溶解薬の模索

心障害および脳血管障害の治療に使用されてきた薬剤やタンパク質は数多くあるが、良い結果は得られなかった。よって、薬剤をふさわしい水準まで引き上げ、コスト要因などのパラメータも満たすようなものが常に模索されている。血栓溶解薬の特性として求められているものを下記にいくつか挙げる。理想的な血栓溶解薬の特性:

迅速な血流再開
投与しやすさ
フィブリン特異性
緩徐な腎クリアランス
化学的安定性
初回通過効果が低い
全身性出血発生率が低い
脳出血発生率が低い
プラスミノーゲン活性化因子阻害物質-1(PAI-1)に対する耐性
再閉塞率が低い
血圧に影響を与えない
非抗原性
手頃な費用

血栓溶解療法として現在使用されている血栓溶解薬のほとんどは、これらの特性を残らず示すことができていない。これらの血栓溶解薬の大部分は、基質特異性に限界があるとともに、必要な血液凝固タンパク質や、正常な恒常性に不可欠な因子も溶解してしまう。こうしたことが、理想的な薬物分子を求めて新規分子を模索したり、既存分子を改良したりする研究の引き金となっている。以上を踏まえ、目標達成に向けて多くの先進的研究が行われている。

3. ルンブロキナーゼ


医学史上の概観:

ミミズは地中動物群の主となる代表的存在であり、潜り穴・摂取・排泄などの活動による土壌肥沃の維持に不可欠である[16]。世界で約8,000種以上が報告されており、極地と乾燥地域以外ならどこにでも存在する[17]。ミミズは土壌汚染物質に絶えず暴露されているので、耕地生態系の健全性指標ならびに生態毒性指標種としての認識が高まりつつある。例えば、学名Eisenia andrei、Eisenia foetida、Lumbricus terrestrisなどのミミズ種は、標準化された急性毒性試験と生殖毒性試験に広く使用されており、ツリミミズ科に属する([生物分類の]門/環形動物門、[生物分類の]綱/環帯類、亜綱貧毛網、目[綱classと科familyとの中間にある部門]/ナガミミズ科、上科/Lumbricoidea、科/ツリミミズ科)。

ルンブルクスルベルス(Lumbricus rubellus)というミミズから抽出された線維素溶解酵素はルンブロキナーゼと名付けられた。これは6つの線維素溶解性イソ酵素(タンパク質)の集合名であり、分子量25KDa~32KDaである[18]。1992年、ミミズの粗エキスに関する研究により、強力な血栓溶解作用をもつことが明らかにされた。ルンブロキナーゼはミミズの腸管・組織液・腸液中にイソ酵素として存在している。このような強力なタンパク分解酵素をミミズが持っている理由は、植物残渣や有機物を餌としているからで、これらを全て消化することにより、ルンブロキナーゼ(セリンタンパク分解酵素)が産生されると考えられる。研究が進歩するにつれ、ルンブロキナーゼはその他のミミズ種からも分離され、それらにも線維素溶解活性が認められた。研究者らはルンブルクスルベルス中の線維素溶解酵素を精製して詳細に特徴づけ[19]、プラスミノーゲンが豊富なフィブリンと、プラスミノーゲン非含有フィブリンの加水分解を発見した。線維素溶解酵素はフィブリン凝塊を溶解するもので、化学療法薬としての臨床応用に重要なものである[20]。


ルンブロキナーゼの分離:

ルンブロキナーゼは6つの線維素溶解性イソ酵素(タンパク質)の集合名であり、分子量25KDa~32KDaである。6つのアイソフォーム(F1~F6)の線維素溶解活性は次の順に発見された:F6 > F2 > F5 > F3 > F1 > F4 [23]。2003年に研究者ファン・チョー(Hwan Cho)らが、線維素溶解酵素であるルンブロキナーゼの6つのアイソフォーム(LrPI- 0、LrP-I-1、LrP-I-2、LrP-II、LrP-III-1、LrP-III-2)を、ルンブルクスルベルスから分離した[3, 4, 23]。イオンスプレー質量分析で測定されたイソ酵素の分子量は、それぞれ23,013、24,196、24,220、24,664、29,667、29,662であった。一般にこれらのペプチド鎖アスパラギンとアスパラギン酸残基の中には、リジンが比較的少ない。これが有機溶媒および無機溶媒においてルンブロキナーゼが高い安定性を持つ理由であると考えられる。酸性官能基のpH範囲(pH1.0~11.0)は広く、60℃まで不活性化状態にならない。酵素活性の範囲(LrP-IIおよびLrP-III-1)は約50℃ pH9.0で最大となる[21]。

1988年、研究者チョウ(Zhou)らがシマミミズ(Eisenia foetida)から最低7つの線維素溶解活性成分を分離したところ、これらはpH5.0~9.0で安定し、pH2.6未満で変性することが見出された。この酵素はセリンタンパク分解酵素の一種で分子量45kDaである。異なる線維素溶解活性を持つ2種類の構成サブユニット(26kDaと18kDa)が、疎水性相互作用によって結合している。その後の分離で8つの線維素溶解酵素(Ef P-0-1、Ef P-0-2、Ef P-I-1、Ef PI- 2、Ef P-II-1、Ef P-II-2、Ef P-III-1、Ef P-III-2)が段階的精製法により2007年にリストアップされた[22]。


作用機序:

研究対象のミミズ種から抽出されたタンパク分解酵素ルンブロキナーゼ(LK)群には、プラスミノーゲン活性化因子とフィブリン特異的セリンタンパク分解酵素が含まれる。ルンブロキナーゼにおけるプラスミノーゲンの活性化メカニズムは、別の抽出源からの組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)に類似しており、フィブリン存在下でのみ血栓溶解作用が活性化される。ルンブロキナーゼの作用機序には、プラスミノーゲンの活性化への関与と、フィブリン自体への直接作用が挙げられる。ルンブロキナーゼは主にフィブリノーゲンとフィブリンをタンパク分解する一方、プラスミノーゲンやアルブミンをはじめとする血漿タンパク質を加水分解することはほとんどない。酵素ルンブロキナーゼは、極めて強い線維素溶解活性を有し、広いpH範囲で安定であり、熱失活および分解に対する安定性が高い。ルンブロキナーゼはアルカリ性トリプシン様タンパク分解酵素であり、有機溶媒に対する安定性および耐性がトリプシンよりも高い。

図3:ルンブロキナーゼによる血栓溶解療法の図。ルンブロキナーゼはプラスミノーゲン活性化因子というだけでなく、フィブリン特異的な血栓溶解薬でもある。(原文参照)

ルンブロキナーゼには二重の血栓溶解作用が認められ、具体的にはプラスミノーゲン活性化因子を活性化して正常な生体システムにおける段階的作用を始動させて血栓を溶解するという一方向の連鎖と、フィブリンに対する極めて大きな結合性で特異的に血栓を溶解することである。

ルンブルクスルベルスから分離されたミミズ線維素溶解酵素III-1(EFE-III-1)は、腸上皮を介して血中に移行し、循環血液中でその生体機能を維持する能力を持つのかどうかについて、研究者ヴィルハルト(Vilhardt)とルンディン(Lundin)が検討し、EFE-III-1に対する抗体を産生させた。免疫学的な結果では、全EFE-III-1の10~15%は消化管潰瘍によって吸収されることが明らかにされた[23]。酵素の完全吸収のさらなる証拠は、免疫組織化学的アプローチと、腸上皮細胞中の有無によって結論づけられた。実験は動物モデルで実施され、ラットへの腹腔内注射後、免疫反応性の無傷EFE-III-1は血清または血漿中で検出されることが結論づけられた。追跡調査期間中、腸上皮を介して移送されたとみられる無傷酵素の10%が検出された。さらに血中の最大残存活性は、腹腔内注射から約60分後に測定されることが確認された[24]。


ルンブロキナーゼの遺伝子構造

ジェンバンク(米国の遺伝子データバンク)のデータによれば、ルンブロキナーゼには利用可能な8つの相補DNA (cDNA)クローンが存在する(内訳はジェンバンク受入番号; AY438622; U25644, AY178854; AY187629; AF304199; AF433650; U25648; U25643)。ルンブロキナーゼcDNAのコード領域は長さ852bpで、283のアミノ酸をコードし、うち最初の36のアミノ酸はシグナルペプチドからなり、残りの247のアミノ酸は成熟タンパク質の構成要素である[25]。各cDNAクローンのヌクレオチド配列が解析され、全配列に「CG」モチーフを含む13のコドンが存在することが明らかにされた。これは哺乳類では比較的稀にみられるもので、哺乳類細胞または組織に転換された後では効率よく翻訳されない可能性がある[26]。シマミミズ(Eisenia foetida)EFE-3のcDNAには 859のヌクレオチドが含まれ、翻訳可能領域は112から853まであり、247のアミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする[27]。細胞外酵素ルンブロキナーゼは、多様なミミズ種から分離されるが、線維素溶解作用機序は同じであり、循環血液中プラスミノーゲンを間接的に活性化してフィブリンに向ける。


ルンブロキナーゼのタンパク質構造

プロテオミクスの全情報を得るため多様なミミズ種のタンパク質配列が解析されている。ルンブルクスルベルスおよびシマシマミミズ(Eisenia foetida)のイソ酵素におけるタンパク質配列には同一の残基が多くみられる。これらのタンパク質は、例えばβシート、αヘリックス、反転、コイルのような確実に予測される二次構造を持っている。ミミズ線維素溶解性タンパク分解酵素II(Ef P-II [EFEa])と呼ばれるルンブロキナーゼのアイソフォームにおける配列は、既知の構造を持つ関連セリンタンパク分解酵素[28-30]、もしくはその他のミミズセリンタンパク分解酵素[31]と極めて類似性が高い。ミミズタンパク分解酵素の触媒特性はその三次構造によって直接的影響を受ける。NMR(核磁気共鳴分析法)およびX線による研究により、Ef P-III-1(EFE-b)は、トリプシン様タンパク分解酵素であり、2つの鎖(N末端のピログルタミン酸化軽鎖とN-グリコシル化重鎖)を持っていることが示された[32]。その構造的特徴(図4)が、熱・有機溶媒・タンパク分解酵素への耐性における高レベルの安定性をEf P-III-1に与えている可能性がある[33]。ルンブロキナーゼにおける別のアイソフォームEf P-IIは、キモトリプシン様セリンタンパク分解酵素というだけでなく、必須エラスターゼS1ポケットも有する。


遺伝子組換えルンブロキナーゼ

ミミズの天然ルンブロキナーゼを分離・精製するには、手間のかかる多段階にわたる作業で労力を要するほか、その他のタンパク質が不純物として混入するリスクもある。そこで、様々なミミズ種から原核生物系および真核生物系へのルンブロキナーゼ遺伝子のクローニングと発現が開始され、大多数は成功した。2003年、研究者ファン・チョー(Hwan Cho)、ソン・チョウイ(Eui Sung Choi)、ヒョン・ホアン・リー(Hyung Hoan Lee)は、細菌系でルンブルクスルベルスのルンブロキナーゼ遺伝子をクローニングすることに成功した。ルンブルクスルベルスのルンブロキナーゼ遺伝子における全c-DNA(相補DNA)配列を、mRNA(伝令RNA)テンプレートを用いて増幅させ、配列決定し、大腸菌エシェリキア・コリ細胞内で発現させた[34]。

線維素溶解F6タンパク分解酵素遺伝子に対する最も強力なルンブロキナーゼのアイソフォームは、遺伝子配列解析によるプロ配列および成熟配列からなり、このタンパク分解酵素はF6タンパク分解酵素のN末端アミノ酸配列解析によって活性成熟ポリペプチドに翻訳・修飾された。F6タンパク分解酵素の遺伝子構造は、メチオニン1からリジン44までの44残基からなり、これらはプロ領域および成熟ポリペプチド(239のアミノ酸残基と1つの終止コドン; 720 bp)であり、イソロイシン-45から始まり末端残基まで続く。F6タンパク分解酵素遺伝子をプロ-成熟配列および成熟配列として大腸菌エシェリキア・コリ系で発現させたところ、封入体を形成した。大腸菌エシェリキア・コリ系で発現後、これらの封入体をラットに経口投与したところ、対照群と比較して血栓の大きさが約60%大幅縮小した。さらに、これらの封入体をペプシンまたはトリプシン溶液中で可溶化すると、溶血作用が示された。以上の結果、F6タンパク分解酵素は溶血作用を持っており、プロ領域と成熟領域からなることが結論づけられた[35]。

チェ・ロン・スー(Zhe-rong Xu)らの研究チームは大腸菌エシェリキア・コリ(Escherichia coli)でルンブロキナーゼPI239の成熟ペプチドを構築・発現させた。LK遺伝子を増幅・最適化した後、ルンブロキナーゼ遺伝子を原核生物発現ベクターpET-22bでクローニングした。この遺伝子組み換えルンブロキナーゼ(rLK)を封入体として発現させ、その封入体からrLKを精製するプロセスを開発した。さらなる尿素濃縮戦略をrLK再生プロセスに適用し、成熟タンパク質が得られるようにした。精製・再生されたrLK(遺伝子組み換えルンブロキナーゼ)は動物モデルで成功裏に解析され、十分な血栓溶解が認められ、ルンブロキナーゼは血栓関連の疾患に対する治療薬として再度裏付けられた[37]。

原核細胞系には翻訳後修飾とタンパク質折り畳み構造がないため、真核生物のタンパク質を原核細胞系で発現させると必ず問題が生じる。こうした体制で、多くのルンブロキナーゼ遺伝子がクローニング、発現、配列決定されたが、遺伝子の発現は未知の原因またはコドンの偏りにより最も望ましい状態には達しなかった。成熟ルンブロキナーゼc-DNAのコード領域 は長さ852bpで、283のアミノ酸をコードし、うち最初の36のアミノ酸はシグナルペプチドからなり、残りの247のアミノ酸は成熟タンパク質の構成要素である。各cDNAクローンの配列は全て解析され、全配列に「CG」モチーフを含む13のコドンが存在することが明らかにされた。これは哺乳類では比較的稀であり、哺乳類細胞または組織に転換された後では効率よく翻訳されない可能性がある[26]。それ故、これらのコドンは至適発現のために最適化された[38]。


ルンブロキナーゼ発現を改善するためのコドン最適化と配置:

S. No. コドン番号 配置 元のコドン 最適化コドン アミノ酸
1. 8 TCG TCA SER
2. 11 GCG GCA ALA
3. 57 CCG CCA PRO
4. 63 CGA AGA ARG
5. 80 CGT AGT ARG
6. 109 GCG GCT ALA
8. 166 CGT AGA ARG
9. 188 CGA AGA ARG
10. 191 ACG ACT THR
11. 216 GCG GCT ALA
12. 217 TCT TCA SER
13. 267 CGC AGG ARG

成熟ルンブロキナーゼタンパク質における優れた折り畳み構造ならびに発現を得るため、真核細胞系でクローニングと発現を開始した。ルンブロキナーゼPI239が大腸菌エシェリキア・コリ(Escherichia coli)で発現する時、余分なシステイン残基を有しており、封入体として形成される。したがって、成熟タンパク質を得るには再生工程が必要となる。また、大腸菌エシェリキア・コリは原核生物系なので、多くの真核生物にみられるタンパク質プロセシング、折り畳み、グリコシル化などの翻訳後修飾を行うことができない。

遺伝子組換えルンブロキナーゼを大腸菌エシェリキア・コリ系で発現させると、変性および再生工程しても酵素活性が低い。結果的に、発現および翻訳後修飾が可能な真核細胞系が必要となる[39]。真核生物系ピキア・パストリスは、成功率の高い異種遺伝子発現系で生成されている。ストレプトキナーゼやウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子などの線維素溶解酵素の大部分は、ピキア・パストリスで発現されている。これらの大半では発現ホストとしてGS115を用い、発現ベクターとしてpPIC9Kを用いている。最近ではルンブロキナーゼ (F-III-2)の有効な発現系は、宿主株としてピキア・パストリスGS115を用い、発現ベクターとしてpPICZ_-Aを用いて構築されており、pPICZ_-AはpPIC9Kよりも取扱いが簡単である。ピキア・パストリスおよび大腸菌エシェリキア・コリのベクター選抜は、ゼオシン耐性を付与する単一小型優性選抜マーカーに基づくものである[40]。

酵母菌でルンブロキナーゼをスクリーニング・発現・発酵する一連のプロセスを確立することに成功した。その後、ルンブロキナーゼを発現させるための遺伝子組み換え酵母菌における高密度発酵が初めて行われたほか、高密度発酵による遺伝子組換えルンブロキナーゼ発現に必要な条件についての予備的研究が実施された。

4. ルンブロキナーゼにおける最近の進歩:


結晶化

ルンブロキナーゼに関する三次元構造の全情報さえ得られていないなか、ルンブロキナーゼのタンパク分子に関する情報を得るため、研究者がルンブロキナーゼの結晶化に着手した。ルンブロキナーゼを結晶化するための初期試験は、疎行列手法に従った懸滴蒸気拡散法(hanging-drop vapour-diffusion method)を用いて実施された(44)(1991年Jancarik & Kim)。室温にて、沈殿剤として1.0M(NH4)2SO4、添加物として2.5% PEG 400、 緩衝剤(pH7.2)として0.05Mヘペス(HEPES)を含む系で、微結晶が得られた。結晶化条件を大幅に最適化した後、温度を288K(ケルビン)に調整し、初回滴下液は5mg ly1タンパク質、0.6M(NH4)2SO4、2.5%(v/v) PEG400、0.05M MOPS緩衝剤pH 7.2を含むよう調整し、2.0M(NH4)2SO4、5.0%(v/v) PEG400、0.10M MOPS緩衝剤pH 7.2を含む貯液槽を備えた[41]。


F0F1-ATP分解酵素マイクロミキサー(撹拌機)

ルンブロキナーゼを脳・心血管系疾患治療に活用することを目指し、最大の酵素活性および有効性を得るため新たなテクノロジーが考案された。F0F1-ATP分解酵素は生物学的分野において鍵となる酵素であり、自然界に最も広範に分布するタンパク質の1つである。ATP合成酵素とはATPを合成する一般的酵素のことであり、大半の細胞プロセスで動力を供給する燃料である。F0F1-ATP分解酵素は2つの役割を持つ。具体的にはF1モーターはATPの加水分解エネルギーを用いてメカニカルトルクを発生する一方、F0モーターは膜内外のプロトン駆動力を用いて反対方向に回転トルクを発生する。以下のデザインのように、これらの2つのモーターはフレキシブルカップリングによって連結しており、各モーターは逆回転可能である:F0モーターはATPを合成するためF1モーターを駆動することができ、F1モーターはプロトンをポンピングするためF0モーターを駆動できる。研究者ニン・タオ(Ning Tao)らは生物学的分子ATPモーターを用いて新規マイクロミキサーを開発した。このマイクロミキサーは、色素細胞が組み込まれたF0F1-ATP分解酵素の配列から構築されたもので、d-free F1部分は溶液を混ぜるための回転子として作用し、F0部分は光によって駆動する。顕微鏡的研究により、このマイクロミキサーはFITCで標識されているフィブリンに直接接触しないことが示された。F0F1-ATP分解酵素モーターによって発生した力は、溶液中の薬剤の動きを誘導し、線維素溶解プロセスを加速させる。マイクロミキサーは、低濃度のルンブロキナーゼ存在下で、線維素溶解プロセスを加速するナノ力学的な動力を生むことが、研究から強く示唆される[42]。


固定化と化学修飾

in-vivo(生体)系にて酵素を再利用することにより、投与頻度を最低に抑える目的で、固定化および化学修飾の研究が実施された。酵素担体として無水マレイン酸メチルビニール共重合体を用いて、ルンブロキナーゼがポリウレタン表層で固定化された[43]。ポリウレタン表層で固定化されたルンブロキナーゼには強い抗血栓作用が現れ、血栓を誘発する表面を退縮させることができる。ルンブロキナーゼが固定化された表面では、血小板粘着および活性化が最小限に抑えられる可能性があり、これはフィブリノーゲンの吸着が阻止されることが原因か、もしくは血液接触の初期段階における吸着したフィブリノーゲンの立体構造の変化が原因となる[44]。

さらに、血栓溶解薬の有効性と忍容性を改善するため、フィブリンに対するルンブロキナーゼの特異度を改善する必要がある。これにより副作用が回避されるとともに、プラスミノーゲン活性化抑制因子に対する耐性が強化され、半減期が延長する。ルンブロキナーゼの安定性を改善するためには、化学修飾を使用してミミズタンパク分解酵素の天然構造を安定化させ、投与時の抗原性を低下させる。ルンブロキナーゼの安定化は、自己分解して不活性化しないよう活性化状態を守るため、1-エチル-3-(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドとフェニルグリオキサールで酵素を化学修飾することによって得られた[45]。

最も強力な線維素溶解性ルンブロキナーゼは破砕ヒト血清アルブミンで化学的修飾された(MW, 10,000?30,000)。化学修飾後、酵素は天然酵素の抗原性を失った。ルンブロキナーゼは非出血性タンパク質であり、血小板凝集を誘発しないほか、ヒトプラスミンに比べてフィブリンとフィブリノーゲンに対する強力なタンパク質分解活性が示されている。また、ルンブロキナーゼは、ラット大静脈中トロンビンによって誘発される全血フィブリン凝塊(血栓)をin vivo(生体内)で容易に可溶化する。

5. ルンブロキナーゼの臨床応用


有力な線維素溶解薬

ミミズタンパク分解酵素ルンブロキナーゼは線維素溶解薬として中国、韓国、日本で使用されている。血中の血栓形成は、脳卒中や心筋梗塞などの多くの合併症の原因となる。天然タンパク分解酵素および遺伝子組換えタンパク分解酵素の多くが、ウロキナーゼ(UK)、ストレプトキナーゼ、遺伝子組換え組織型プラスミノーゲン活性化因子、スタフィロキナーゼ、遺伝子組換えプロウロキナーゼなどの血栓溶解薬として使用されている[46]。これらの多くは結果が良好である一方、迅速なクリアランスや、再閉塞に対する抵抗性の欠如、出血性合併症、その他の有害事象などの限界点もみられる。

ミミズタンパク分解酵素は、線維素溶解とプラスミノーゲン活性の二重機能を持っているので、ウロキナーゼや組織型プラスミノーゲン活性化因子などの酵素とは異なる[47-50]ことから、血栓症の治療に使用されている。動物または病院での試験的経口投与時、ルンブロキナーゼに有意な線維素溶解効果が認められた。さらに明確な改善が血液高粘度症候群および血小板増多症の治療において観察されている[51]。また、経口剤形のルンブロキナーゼは、室温での長期保管下で非常に安定している[52]。以上のことからルンブロキナーゼは心筋梗塞や脳血栓などの血栓症の治療・予防に経口剤として使用されている [53]。


脳虚血の予防:

ルンブロキナーゼは虚血性合併症の候補薬として適している。ルンブロキナーゼの抗虚血作用は、cAMP (環状AMP)濃度の上昇と、カルシウム貯蔵から放出されるカルシウム量の低下による抗血小板作用と、ICAM-1発現の阻害による抗血栓作用、それにJAK1/STAT1経路の活性化による抗アポトーシス作用によって生じる。分子レベルで細胞接着分子-1(ICAM-1)およびヤヌスキナーゼ1/シグナル伝達物質/転写1活性化因子(JAK1/STAT1)経路において抗血栓作用および抗アポトーシス作用を発揮して脳を虚血傷害から守る[54]。


移植の補助

人工臓器移植中および移植後、一般に小さな血栓が移植片の表面に形成され、移植片拒絶反応として更なる合併症につながる可能性がある。血液適合性から生体用材料まで移植分野や医学は大きく進歩してきたとはいえ、これまでの結果は満足のいくものではない。1994年にルンブロキナーゼは、酵素担体として無水マレイン酸ビニルエーテル共重合体を用いて、ポリウレタン表層で固定化された[55]。これにより、ポリウレタン表層で固定化されたルンブロキナーゼには強い抗血栓作用が現れ、血栓を誘発する表面を退縮させることができる。ルンブロキナーゼが固定化された表面では、血小板粘着および活性化が最小限に抑えられる可能性があり、これはフィブリノーゲンの吸着が阻止されることが原因か、もしくは血液接触の初期段階における吸着したフィブリノーゲンの立体構造の変化が原因となる[56]。

6. 考察と結論:

医科学の分野でルンブロキナーゼは血栓溶解療法として今日ますます普及している。真核生物のタンパク質により、心障害および脳血管障害の治療に幅が広がる。遺伝子組換えテクノロジーが進歩するにつれ、天然ルンブロキナーゼの欠陥を最小限に抑えるため、ルンブロキナーゼは細菌系および真核細胞系で生成されている。さらに遺伝子レベルで改変することにより薬剤の有効性を高める試みが行われており、具体的には遺伝子組換え酵素の発現強化に適したホスト系をデザインすること、固定化して酵素を再利用すること、化学修飾して抗原性を弱めて活性を高めることが試されている。実際、血栓溶解療法による合併症を最小限に抑えるための先進的研究が常時行われている。将来的に血栓溶解療法に適した候補薬となるであろう。

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Authors

Mahendra Kumar Verma is working as Lecturer at Department of Biotechnology, R.V.R. & J.C. College of Engineering, Andhra Pradesh, India. He is B.Pharma & M.Tech in Biotechnology and currently pursuing PhD as part time. He teaches Molecular Biology Genetic Engineering and Pharmaceutical Biotechnology for undergraduate students.

KK Pulicherla is an Associate Professor and Head of the Department at R.V.R. & J.C. College of Engineering, Andhra Pradesh, India. He researches and teaches in several areas of Genomics, Proteomics, as well as Bioinformatics. As a young researcher he has published 7 papers in Journals and Magazines. He attended and presented 3 papers in Various National and international conferences. He also has a patent to his credits.


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