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2013-08-29

ソース(記事原文):ジョンズホプキンス・メディスン

標準的抗生物質に降圧薬を追加すると結核治療が迅速化

ジョンズホプキンス・メディスン(2013年8月29日) ― イソニアジドとリファンピンの抗生物質療法にベラパミルを追加することで効果が増強することがマウス試験で判明

高血圧や頭痛の治療薬としてよく知られる薬剤を、毎日の標準的抗生物質療法に追加投与すると、結核治療を効率的に迅速化できることが、ジョンズホプキンス(Johns Hopkins)大学の感染症専門家らによってマウス試験で明らかにされた。試験動物は通常6ヵ月で治癒するところ4ヵ月で治癒した。

研究者らによれば、感染力の高い肺疾患の深刻度が大きいインドにおいて、年内に開始される臨床試験でベラパミルの治療効果が示されれば、抗生物質イソニアジドとリファンピンに加えてベラパミル(カルシウム拮抗薬)を用いることにより治療期間が短縮されることになり、感染者にとって薬物療法を処方通りに完遂することが容易になる可能性がある。専門家は、結核に対する抗生物質療法は、服薬を中断または中止すると効き目がないとしている。

また、薬剤遵守率の向上が、結核菌(マイコバクテリウム・ツベルクローシス)に起因する薬剤耐性結核菌株の増加を阻止する可能性もある。この結核菌により毎年推定100万人が死亡しており、そのほとんどは発展途上諸国で起きている。

本試験の主任研究者で感染病専門家のウィリアム・ビシャイ(William Bishai)博士は「世界的な病気である結核に対する新たな治療選択肢が早急に必要とされるなか、今回の結果は結核に対する抗生物質の追加薬としてベラパミルが優れた医薬品候補であることを示すものである」としている。同氏の研究チームによる最新の結果報告は、米国胸部疾患学会学会誌(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine)9月1日号に掲載される予定である。

ジョンズホプキンス大医学部(Johns Hopkins University School of Medicine)と結核研究センターの教授を務めるビシャイ(Bishai)博士は、結核に対する治療薬の選択肢は古くからある約12種類の抗生物質に限られており「数が少なすぎる」ほか、うち一部の薬剤には重大な副作用があるとしている。ジョンズホプキンス大学のハワード・ヒューズ(Howard Hughes)医学研究所責任者でもある同氏によると、ベラパミルは約40年間あまり使用されており、血圧が低くなりすぎるなどの副作用がよく知られている。インドの臨床試験は、最小有効量の決定を目的として安全性を中心に検討するもので、結核の追加薬としてのベラパミルの「真の潜在能力」を明確化する主要な試験となる、と同氏は述べている。

主任研究者で免疫学者のシャシャンク・グプタ(Shashank Gupta)博士は、一般名ベラパミル(主な商品名:イソプチン、ベレラン、カラン、 Bosoptin、Covera)は、多剤耐性結核の併用療法試験における医薬品候補として望ましいと考えられることが、今回の試験結果から示唆されるとしている。

ジョンズホプキンス大学博士研究員のグプタ氏によれば、ベラパミルは排出ポンプ阻害剤として作用することで知られており、この作用により細菌の抗生物質に対する感受性が高まり、免疫細胞マクロファージによる貪食が促進されるが、その一方で正確な働きは明らかにされていない。排出ポンプ作用が強まると、結核への薬剤耐性が促進され、抗生物質の有効性が最小になることが別の試験において明らかにされた後、本研究チームが結核治療薬としてのベラパミルの可能性について検討することとした、と同氏は述べている。

この最新研究における重要な結果の1つには、治療から2ヵ月後、ベラパミルが結核細菌の殺傷速度を10倍速めたことが挙げられる。治療から4ヵ月後、ベラパミルを投与したマウスの肺組織検体の半分は細菌数がゼロであったのに対し、降圧薬を投与しなかったマウスにおける組織検体は全て結核に陽性を示した。

本試験は2012年1月~11月にジョンズホプキンス大学で実施されたもので、結核感染マウスに対し、毎日のイソニアジド、リファンピン、およびピラジナミドによる標準的な抗生物質療法を2ヵ月間施行し、その後イソニアジドとリファンピンのみを4ヵ月間連日投与した。さらに、感染マウスの半数には、ヒト用の最小用量に相当する血液1リットルあたり40mgのベラパミルを、6ヵ月通して連日投与した。研究者らは、リファンピンによるベラパミル体内分解の促進を補うためには、試験で用いるベラパミルの初回用量を50%増量すべきと見積もった。肺組織の分析を両マウス群に月1回以上行った。

本研究は、米国国立衛生研究所(NIH)に属する米国国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases:NIAID)と、ハワード・ヒューズ(Howard Hughes)医学研究所から財政的援助を受けて実施された。NIAID助成金番号:AI-079590、AI-037856、AI-036973。追加資金援助はハワード・ヒューズ医学研究所が行った。

ビシャイ氏とグプタ氏のほか、本研究に関与したジョンズホプキンスの研究者らの名前は、Sandeep Tyagi氏、Deepak V.Almeida博士、Mariama C.Maiga氏、Nicole C.Ammerman博士である。

専門家らが推定したところでは、世界中で20億人が結核に感染し、うち毎年1,000万人が発病しており、その中で結核と新規診断されるのは推定870万人である。中国だけでも、毎年100万例を超える活動性結核の新規症例が発生している。結核の伝播は、感染者が咳などをして大気中に結核細菌を吐き出し、非感染者がそれを少量吸い込むことで起こる。


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