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2013-09-01

ソース(記事原文):メドページ・トゥデイ

欧州心臓病学会: 急性心膜炎におけるコルヒチンの有効性

メドページ・トゥデイ(2013年9月1日)― 2013年9月3日更新

エド・ズースマン(Ed Susman)著(メドページ・トゥデイ[MedPage Today]誌記者)

監修:カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部臨床准教授ロバート・ジャスマー(Robert Jasmer)博士と、看護プランナー(Nurse Planner)ドロシー・カプト(Dorothy Caputo)

アムステルダム -- 主に痛風治療に使用される抗炎症薬コルヒチンは、急性心膜炎の治療とその再発防止に効果的であるとみられることが、欧州心臓病学会で報告された。

イタリアのトリノにあるマリア・ヴィクトリア病院(Maria Vittoria Hospital)のマッシモ・イマジオ(Massimo Imazio)博士によれば、コルヒチン治療を受けた患者120人のうちの計16.7%が持続性または再発性の心膜炎を生じたのに対し、プラセボ群に割り付けられた120人のうちでは37.5%であった(P<0.01)。

コルヒチン群の患者120人のうち16.7%が持続性または再発性の心膜炎を発症したのに対し、プラセボ群120人のうちでは37.5%であった(P<0.01)ことを、イマジオ氏がホットライン(救急専用回線)研究についての学会発表で報告した。

同氏がCOPE(急性心膜炎に対するコルヒチン)試験について年次総会で報告したところによると「急性心膜炎患者において、通常の抗炎症薬であるアスピリンまたはイブプロフェンにコルヒチンを併用すると、18ヵ月間の持続性または再発性心膜炎の発症率が有意に低下した」という。通常の治療薬にコルヒチンを追加すると心膜炎の再発率を半減させることが明らかとなった。

米国食品医薬品局(FDA)はColcrys(一般名:コルヒチン)を認可した後に、未承認版コルヒチンを製造するその他のメーカーに販売停止を命じた。

本試験では、急性心膜炎と診断されて入院した患者240人を多国間試験に登録した。基礎的な抗炎症薬に加えて、コルヒチンを体重に応じた用量で2回に分けて投与する群と、プラセボを投与する群のいずれかに患者を無作為に割り付けた。

患者の年齢は約50歳で、60%が男性であった。90%を上回る患者が特発性心膜炎と診断された。イマジオ氏は「これらの症例のほとんどはウイルス感染症の一種により生じると考えられる」と本誌に語った。

コルヒチン治療は72時間時点での症状持続を有意に減少させることに関連を示し、依然として症状が持続していたのはプラセボ群で40%であったのに対し、コルヒチン群では19.2%であった(P=0.001)。

1週間時点で、症状の寛解を得られたのはコルヒチン群で約85%であった一方、プラセボでは58.3%であった(P<0.001)、とイマジオ氏は報告している。

同氏によれば、コルヒチン治療の方が、プラセボよりも以下の点で有意に効果的であった:
・持続症状からの患者保護
・再発からの患者保護
・患者あたりの再発回数の減少
・初回再発までの期間延長
・入院に関連する心膜炎の予防

コルヒチン治療が有害事象の有意な増加を招くことはなかった、とイマジオ氏は指摘した。全体として、コルヒチン群の10%が有害事象(主に胃腸不快感や胃腸の諸症状)を報告したのに対し、プラセボでは11.7%であった(P=0.84)。投薬を中止したのは、コルヒチン群で8.3%、プラセボで11.7%であった(P=0.52)。同氏は「コルヒチンは非常に安全な薬剤である」としている。

イマジオ氏は「本剤は心膜炎に対する一次治療として考慮されるべきであると考えている」と語った。

同氏によれば、臨床試験報告書の情報に基づくと、3ヵ月間のコルヒチン治療スケジュールは任意期間であった。症状のない症例では4週~6週間隔で、持続している症例や再発症例と差をつけた。

デトロイトのウェイン州立大学(Wayne State University)心臓病学科長で、米国心臓病学会(American College of Cardiology)副代表のキム・ウィリアムズ(Kim Williams)博士は「本試験は、現時点で急性心膜炎の治療にコルヒチンを使用している臨床医を安心させるものである」と本誌に語った。

「心膜炎という稀な疾患は、非ステロイド性抗炎症薬などの抗炎症薬で治療される傾向がある。また、プレドニゾンというステロイド薬を使用する医師もいるが、プレドニゾンは再発に関連するという意見もある」

心タンポナーデや収縮性心膜炎といったかなり厄介な心膜炎合併症が本試験において稀に起こっており、これらの疾患におけるコルヒチンの有効性について結論を出すのは不可能である、とウィリアムズ氏は述べている。コルヒチンによるタンポナーデや収縮性心膜炎の症例は存在しなかった一方、プラセボ群ではタンポナーデが3例(P=0.25)、収縮性心膜炎が1例みられた(P=1.00)。

ウィリアムズ氏は「2005年~2013年という本試験期間の長さから、この疾患が稀であることがわかる」と述べている。

イマジオ氏と共著者らは利益相反のないこと明らかにしている。

要点
・主に痛風の治療に用いられる抗炎症薬コルヒチンは、急性心膜炎の治療とその再発予防に有効であるように思われることが、本試験で明らかにされた。
・また、プラセボと比較して、コルヒチン治療が有害事象の有意な増加を招くことはなかった点に留意したい。


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