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2015-08-28

ソース(記事原文):スピロノラクトン:“もうひとつの”ニキビのホルモン療法

スピロノラクトン:“もうひとつの”ニキビのホルモン療法

【MEDPAGETODAY】(2015年8月28日)

ニューヨーク--- 古くから存在している心臓血管薬が、ニキビのホルモン治療に対する安全で重要な薬の選択肢として浮上してきている。

1980年代に行なわれた研究では、スピロノラクトンは特に非ホルモン療法では無反応の女性のニキビに対する治療効果が実証されていた。ところがFDA(米国食品医薬品局)の強制により、腫瘍形成の可能性に関する警告および「不必要な使用は避けるように」との注意が添付文書に加えられるようになった。

さらにスピロノラクトンは、腎不全、妊婦、異常子宮出血、エストロゲン依存性悪性腫瘍の人には禁忌であり、また高カリウム血症を引き起こす薬との併用は禁止されている。

最前線で安全性の問題を維持しながら、スピロノラクトンは困難なニキビの事例においてその効果が立証されている、とノースウエスタン大学のベサニー・J・シュロッサー博士は米国皮膚病学会の夏期総会で語った。スピロノラクトンはニキビ治療のために多くの皮膚科医によって広く使用されているが、その適用はいまだにFDAから認可されていない。

かつて同僚がシュロッサー博士にこう言ったことがある。もし3つだけニキビ治療ができるとしたら、固定用量局所薬そしてイソトレチノン、スピロノラクトンを選ぶであろう、と。シュロッサー博士はこの同僚に配慮し、「もしそれがその人にとって充分であれば、私にとっても満足だと思うでしょう」と語った。

女性のニキビをホルモンで対処する場合、特定の状況下では考慮が必要である。例えば、高アンドロゲン血症、遅発性(>25)または持続性ざ瘡、主に顔下半分または頚部での発症、月経前のざ瘡炎症、脂漏を伴う面皰性ざ瘡、通常の治療で効果がない場合、またイソトレチノインの反復療法の代替え療法として行なう場合、など。

またシュロッサー博士は、多毛症、男性ホルモン性脱毛症、男性化徴候(声質低下、筋肉増加など)、黒色皮膚症、中心性または腹部肥満を呈する成人女性では、内分泌学的な精密検査の受診の考慮を示唆している。この状況は、突然発症、重篤または大規模な疾病、通常の治療に対する耐性など、通常から逸脱している一般的な情報に付け加えられている。

心臓血管治療薬としてのスピロノラクトンはアルドステロン拮抗薬であり、利尿剤である。これらの効果以外にアンドロゲン受容体を競合的に阻害し、また5-αリダクターゼの働きを阻害する。その分子はプロゲステロン受容体に対して親和性を持っている、とシュロッサー博士。

スピロノラクトンのニキビ治療に対する適応は、皮脂排出においては用量依存的であり、血中アンドロゲン値にさまざまな効果を与える。この薬はニキビ、多毛症、女性型脱毛症の治療にも使用され、その適用量は50-200mgである。

スピロノラクトンのニキビに関する医学文献では、一般的に有益な成果を示している。そのうちのひとつ、116名のアジア女性を対象とした研究で64人が20週におよぶ治療を行なった。その結果、53%がすばらしい反応を示し、残りの47%は良好であった。

また85人を対象とした試験では、79%が経口抗生物質では効果があらわれない、また14%はイソトレチノインが効かなかったニキビを発症していた。1日50-100mgを平均10ヵ月服用した結果、その3分の1はニキビが完全になくなり、ほかの3分の1の人は顕著な改善がみられ、27%は部分的な効果があらわれた。さらにほとんどの被験者では、スピロノラクトン治療による副作用は出現しなかった、と報告されている。

一般にスピロノラクトンの容認性はよく、また副作用は容量に依存する傾向がある、とシュロッサー博士。ニキビの治療にスピロノラクトンを使用した91人を対象とした調査では、もっとも多くみられた副作用は利尿(29%)と月経不順(22%)で、続いて乳房の圧痛(17%)、疲労感(15%)、そしてめまいや浮遊感(11-12%)となっている。

またシュロッサー博士は、ニキビ治療にスピロノラクトンを使用している人は、腎機能や電解質、全血算値を測定するために定期検査を受けるべきである、と言う。さらに被験者の避妊は、妊娠検査も同時に行ないながらしっかり管理すべきである。

スピロノラクトンによる治療はカリウム値を亢進させるおそれがあり、特に高カリウム血症の素因がある人ではその傾向が高い。ニキビ治療をしている女性は継続的な管理が必要かどうかは、いまだに解決されていない問題である。最近の研究で、2000年から2014年にニキビ治療薬を使用した974人の健常な女性のカリウム値に対するスピロノラクトンの効果が遡及的に評価された。その結果、アルドステロン阻害薬での治療中は0.72%のままでほとんど変化がなかったが、0.76%の人でカリウム値が基準値を超えていた。

スピロノラクトンの添付文書における警告は、概して人間が使用する用量の10倍から500倍の量での前臨床試験が基準になっている。この研究は、高用量のスピロノラクトン摂取と特定の腫瘍との関連性を示している。いくつかの遡及的および症例対照研究では、スピロノラクトンとがんとの因果関係はほとんどないか、皆無であった、とシュロッサー博士は話している。

がんの潜在性に関する研究には、1995年から2010年の間にスピロノラクトンを服用した230万人の成人女性を含むデンマークナショナルデーターベースの分析も含んでいる。「胸部、子宮、卵巣そして子宮頚がんにおいては、スピロノラクトン服用によるリスク上昇に関する根拠はない」と著者は締めくくった。


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