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2012-09-05

ソース(記事原文):AARP

アクトスは安全なのか?

AARP(2012年9月5日)― この画期的な新薬(糖尿病治療薬)は大きな利益をもたらす一方で、患者によっては大きなリスクを抱えることになる

薬剤師アルモン・ニール(Armon B. Neel Jr.)著

質問:最近、糖尿病治療薬アクトスに関する訴訟の公示をみましたが、服用し続けても安全なのでしょうか?

回答:それは一概には言えません。

ピオグリタゾン(アクトス)と類似薬ロシグリタゾン(アバンディア)は、チアゾリジンジオン系として知られる薬の一種であり、2型糖尿病の治療に使用されます。2012年8月、米国食品医薬品局(FDA)はピオグリタゾンの最初のジェネリック版を認可しました。

チアゾリジンジオン系薬剤 ― この薬は単剤でも、別の抗糖尿病薬との併用でも、うっ血性心不全を引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。こうした理由から、心不全患者は同剤を使用すべきではなく、心不全のリスク因子(高血圧、冠動脈疾患のほか、心臓発作歴または不整脈歴など)を有する患者の場合は、注意して使用する必要があります。アクトスとその同種医薬品には、こうした作用が発現しうることへの安全性について警告した「ブラックボックス」ラベルが表示されています。

また、カリフォルニア州で実施中の10年間試験の5年時の結果に関するFDAの解析に基づくと、同剤には膀胱癌リスクが高まりうるという警告も示されています。この解析の結果、ピオグリタゾンの使用に関連する膀胱癌リスクの増加は全般的に認められませんでしたが、投与期間が最も長い患者と、薬の蓄積量が最も多い患者で、わずかなリスク上昇が明らかにされました。また、膀胱癌の既往がある場合や、膀胱癌の別のリスク因子を有する場合は、同剤を避けることが望ましいと考えられます。

それでも、ピオグリタゾンは高齢者において効き目が良好であり、私の見解としては、ほとんどの人で有益性が潜在的リスクを上回ると思います。以上の理由により、ピオグリタゾンを服用する場合には、本人をはじめとして、担当医やその他の医療専門職員が、心不全の徴候や症状を注意深く観察すべきです。具体的には、奔走したり、横になったりした場合の息切れ(呼吸困難) 、急激な体重増加、もしくは脚・足首・足の腫れなどです。特に、ピオグリタゾンを投与し始めたときや、投与量を変更したときが重要な時期です。至適用量に達するまで、担当医やその他の医療専門職員によって月1回以上診察を受ける必要があり、その後は90日間隔でヘモグロビンA1cと健康状態の評価を受けるべきです。

また、ピオグリタゾンを服用する患者は、毎日簡単な自己チェックを2つ行うことが望まれます。1つは片方の足首を指で押してみて、離したときに押した指跡が残っていないことを確認します。へこみが残るようなら、それは浮腫の徴候です。もう1つは、横になったとき、枕で頭を高くしなくても、呼吸が楽にできることを確認します。呼吸困難がみられるようであれば、直ぐに救急外来へ駆けつける必要があります。

最後に、高齢者は血糖値を若年者ほど低く維持する必要がないということを忘れないようにするのが大事です。米国老年医学会(American Geriatrics Society)では「機能状態が良好な比較的健常である成人のA1c適正目標値は7%以下である」と提言していますが、私は個人的に高齢者における適正目標値が7%~9%だと考えています。

メトホルミン(単剤、もしくはグリピジドまたはグリメピリドとの併用)は、2型糖尿病患者の第一選択薬に挙げられることが多いですが、大抵の場合、高齢患者には間違った治療法といえます。というのも、中毒血中レベルが高くなる前に腎臓から同剤を排出させる能力が高齢者では概ね欠けているからです。一方、ピオグリタゾンは腎臓ではなく肝臓で代謝されることから、一般に高齢患者の2型糖尿病をコントロールするには最良の方法です。

「薬剤師への質問」コーナーは、薬剤師アルモン・ニール氏と記者ビル・ホーガン(Bill Hogan)氏が共同で執筆しています。両者は7月に出版社(Atria Books)から上梓された「Are Your Prescriptions Killing You?」の共著者です。


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