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2012-09-03

ソース(記事原文):腫瘍学レポート

エベロリムスがER陽性乳がんにおいて大きな勝利を果たす

腫瘍学レポート(2012年9月3日)― ストックホルム ― エベロリムスとエキセメスタンを併用すると、ホルモン耐性でエストロゲン受容体陽性の進行乳がんの女性において非常に劇的にその病気が抑制されているので、このような患者の治療法の変革が期待されている。

第III相BOLERO-2試験の前もって計画されていた中間解析は、エベロリムス(アフィニトール)が無増悪生存期間の主要エンドポイントを、局所的評価でエキセメスタン(アロマシン)単独投薬時の中央値2.8ヶ月から6.9ヶ月に伸ばしたことを見出した。これは57%のリスク減少に相当する(ハザード比0.43;P<0.0001)。

中央評価に基づくと、エベロリムスは進行または死亡のリスクを64%削減した(10.6ヵ月対 4.1ヵ月; HR = 0.36;P<0.0001)。この試験は中間データで示されたベネフィットに基づき早期に中止された。

「エベロリムスは、難治性エストロゲン受容体(ER)陽性患者におけるホルモン療法の臨床的有益性を高める、最初の薬品である」と筆頭著者ホセ・バセルガ(Jos? Baselga)博士は欧州総合がん会議(European Multidisciplinary Cancer Congress)で語った。

「我々の結果は、ホルモン受容体陽性乳がん患者の治療におけるパラダイムシフトを示すことができた」とバルセガ博士は付け加えた。

フランス・ヴィルジュイフ(Villejuif)のアンスティテュ・グスターブ・ルシ(Institut Gustave Roussy)からの招待討論参加者であるファブリス・アンドレ(Fabrice Andre)博士は、エベロリムスをトラスツズマブ(ハーセプチン)以来、乳がんにおける最も重要な進歩と呼んだ。

「BOLERO-2試験におけるエベロリムスの有効性は、臨床腫瘍学における最も重要な進歩の1つである」とアンドレ博士は述べた。

これらの薬は双方とも既に市販されているので、内科的腫瘍学コミュニティはこの適応症に適応外使用することができるが、ノバルティスはエベロリムスをER陽性進行性乳がんの治療薬として世界中の規制当局の承認を得るため、今年の年末までにデータを提出する予定である。

エベロリムスは、膵臓が原発部位である進行性神経内分泌腫瘍、手術不可能な結節硬化症に関連付けられる上衣下巨細胞性星細胞腫、スニチニブ(スーテント)やソラフェニブ(ネクサバール)での治療が成功しなかった進行性腎細胞がんの治療薬として米国で承認されている。アロマターゼ阻害剤であるエキセメスタンは、閉経後の女性におけるホルモン受容体陽性疾患のネオアジュバント療法として承認されている。

哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)経路は、ホルモン治療抵抗性進行乳がんで活性化されるため、エベロリムスが評価された。第II相エベロリムス試験は、mTORC1阻害剤が内分泌療法に対する抵抗性を逆転する可能性を示唆した、とボストンのマサチューセッツ総合病院がんセンター(Massachusetts General Hospital Cancer Center)の血液学/腫瘍学主任であり、副所長であるバセルガ博士は述べた。

BOLERO-2には、レトロゾール(フェマーラ)またはアナストロゾール(アリミデックス)不応性であったER陽性、HER2陰性の進行乳がんの経後の女性724人の女性が参加した。前治療には、転移性疾患に対する化学療法が約25%、タモキシフェンが48%、フルベストラント(ファスロデックス)が約16%含まれていた。患者はエベロリムス10mg/日かプラセボに無作為に割り付けられ、両治療群ともエキセメスタン25mg/日が投与された。

全奏効率はエベロリムス群で9.5%、プラセボ群で0.4%であった(P<0.0001)。

臨床的有効率はそれぞれ33.4%、18%であった(P<0.0001)と、バセルガ博士は欧州がん機構(European Cancer Organization)、欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology)、欧州放射線治療・腫瘍学会(European Society of Radiotherapy and Oncology)の合同会議で述べた。

無増悪生存期間のサブグループ解析では、すべてのサブグループ間で一貫した結果を示した。

中間解析の時点で83例の死亡が発生していたが(エベロリムス群で10.6%、プラセボ群では13%)、データが未成熟であるとバセルガ博士は述べた。

有害事象は以前のエベロリムスの経験と一致し、口内炎、疲労、非感染性肺臓炎、高血糖を含んでいた、とバセルガ博士。

アンドレ博士はBOLERO-2が頑健かつ臨床的に関連のあるデータを提供していると述べたが、「前臨床データは我々が更によい結果を出すことができることを示唆している」と付け加えた。アンドレ博士は代替補償または平行経路の活性のため、mTORC1を阻害するだけでは最適ではないことを指摘し、代替経路を阻害し抵抗性を逆転させる併用試験への移行を提案した。

「BOLERO-2は氷山の一角にすぎない」と、フランス・ヴィルジュイフのアンスティテュ・グスターブ・ルシの議会科学プログラムの共同議長でありがんの専門家であるジャン=シャルル・ソリア(Jean-Charles Soria)博士はインタビューで語った。「今や問題となっているのは、毒性があまりなく、実現可能である3剤併用の構築についてである」

ソリア博士は、HER2陽性転移性乳がんにおいてパクリタキセルとトラスツズマブとを併用したエベロリムスを評価している現在進行中の第III相BOLERO-1及びBOLERO-3試験と、HER2陽性で局所進行であり、タキサンで前治療したトラスツズマブ(ハーセプチン)に抵抗性のある疾患におけるエベロリムス、ビノレルビン、トラスツズマブの3剤併用とについて言及した。

「第I相および第II相試験で見てきたことから、ハーセプチンとの併用で第III相でも陽性となる可能性があることをかなり確信している」とソリア博士は述べた。「ゆえに、我々の乳がんへのアプローチはおそらく、mTOR阻害剤と共に変更していくであろう」

バセルガ博士は、本研究のスポンサーであるノバルティスなど、数社の製薬会社のコンサルティングを行っていると報告している。アンドレ博士は以前、利益相反はないと報告している。ソリア博士は以前、ベーリンガーインゲルハイム、ロシュ、アストラゼネカ・ファーマシューティカルズ、ファイザーのコンサルティングを行っていると報告している。


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