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2010-12-15

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

カレースパイスから派生した混合物に脳卒中と外傷性脳損傷からの神経保護作用

サイエンスデイリー (12月15日、2010年)

ソーク生物学研究所(Salk Institute for Biological Studies)の科学者らがカレースパイスのターメリックから作った派生化合物が、脳梗塞と外傷性脳損傷(TBI)の動物モデルに見られた分子欠損と行動障害の両方を劇的に改善した。新しい2つの研究は、この新しい化合物は現在のところ適切な治療法がないこれらの病気にとって医学的希望であるかもしれないと示唆している。

アメリカにおいて脳梗塞は障害を引き起こす最たる原因であり、また高齢者の死亡原因の第3位でもある。また、TBIは45歳以下の一般市民と軍関係者の両方の死亡原因、障害原因の第1位であると共に、特にこれはイラクやアフガニスタンから帰国した元軍人の障害の主な原因である。両方のケースにおいて生き残った人が深刻な行動障害や記憶障害を有することは頻繁にある。脳卒中に対するFDA認可の治療薬は組織プラスミノーゲン活性因子(TPA)であるが、これは約20%の症例に対してのみ有効である。TBIの治療法で医学的に承認されているものはない。

以前の研究において、ソーク・セルラー・ニューロバイオロジー・ラボラトリー(Salk Cellular Neurobiology Laboratory)のデビッドR.シューベルト博士(David R. Schubert, Ph.D)とパミラ・マーヘル博士(Pamela Maher, Ph.D)は、植物から派生する天然物から始まる新創薬発見パラダイムを用いて一連の新化合物を開発した。そのパラダイムは、その後、脳損傷や加齢に伴う神経変性疾患による神経細胞損傷や細胞死からの保護をテストするための検査で有効性を示す派生化合物を選択する必要がある。

ソークグループはアルツハイマーなど加齢による神経疾患に関するかなり高度な専門知識を有しているが、TBIや脳卒中の動物実験は行っていない。「我々の新創薬発見計画による薬が中枢神経疾患と外傷の多様なモデルに対し有効であるという仮説を検証するために、シダーズ・サイナイ医療センターとカリフォルニア大学ロサンゼルス校と共同で薬の分析のための一連の実験を行いました。シダーズ・サイナイ医療センターとカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者達は、脳卒中研究とTBI研究の第一人者であり、天然物とその派生物に基づく治療学の可能性の重要性を認識している人々です」とシューベルト博士は説明する。

ロサンゼルスにあるシダーズ・サイナイ医療センターのバーンズ・アンド・アレン・リサーチ・インスティテュート(Burns and Allen Research Institute)神経科のポールラプチャック(Paul Lapchak)博士はTPA開発に用いられたものと同じ動物モデルを用いて、シューベルト博士のチームとの共同研究で、CNB-001が脳卒中により引き起こされる行動障害を少なくともTPAと同程度の防止効果があることを証明した。神経化学ジャーナル(Journal of Neurochemistry)の2010年12月2日号で発表された研究は、脳の血管の血液凝固を減らすTPAとは違い、ソークの化合物は脳内の神経細胞を直接保護する働きを持つことも示した。マーヘル博士は、ソーク化合物が神経細胞生存のために必要な特定の細胞情報伝達経路を維持することを発見した。

同様に、2011年に米ニューロリハビリテーション協会誌(Neurorehabilitation and Neural Repair)において発表される研究は、ロサンゼルスのカリフォルニア大学(University of California)のフェルナンド・ゴメス・ピニラ(Fernando Gomez-Pinilla)博士とカリフォルニア大学生理科学部と神経外科の同僚研究者がTBIのマウスモデルを用い、CNB-001が脳損傷に伴う運動と記憶両方において行動障害が劇的に改善したことを示している。脳卒中に関しては、CNB-001が損傷により失われた神経細胞間の接続を維持すると共に、神経細胞生存に必要不可欠な情報伝達経路を維持することがまたもや証明された。

2つの異なる脳損傷のモデルを用いたこの2つの研究結果は、ソークの化合物が現在のところ何ら効果的な治療がない病気に対して医学的希望を持つということを示している。

「脳卒中やアルツハイマーなど複雑な神経疾患に対する既存の薬物治療は病状の一側面だけを対象としていますが、実際はいくつもの異なる因子がその病態に関係しているのです」とシューベルト博士は述べている。「我々ソークの研究室が採用する新創薬発見プログラムにおいては、創薬候補物質は動物モデルに適用される前にいくつかの病状の組織培養モデルに対して有効性を示さなければなりません。このアプローチは有効な薬を作るために重要な役割を果たしていると我々は信じています」。

関連する研究では、マーヘル博士が同じ新創薬発見パラダイムを用いてハンチントン病の動物モデルに有効な化合物を特定した。「これらの脳障害は、一見全く別のもののように見えますが、これらは神経細胞に対する同じ変異を共有していることから、この変異を防止する化合物は多様な障害にとって有効であると考えられます」とマーヘル博士は語る。

シューベルト博士とゴメス・ピニラ博士以外にも、カリフォルニア大学ロサンゼルス校生理科学部のアイグオ・ウー(Aiguo Wu)博士とツェ・イン(Zhe Ying)氏がTBI研究に貢献した。

両研究はアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)の支援で行われた。ゴメス・ピニラ博士の研究はクレイグ・ニールセン・ファンド(Craig Neilsen Foundation)の追加基金を受けて行われた。