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2013-04-15

ソース(記事原文):ニュースワイズ

ジゴキシンが死亡率を上昇させる科学的根拠はないことが新たな試験で判明

ニュースワイズ(2013年4月15日)― 出典:バーミンガムのアラバマ大学(University of Alabama)

アラバマ州バーミンガム ― 欧州心臓病学会誌(European Heart Journal)本日号に掲載された研究で、ジゴキシンが心房細動の患者における死亡率を上昇させる証拠はないことが明らかにされ、同じデータを解析した別の研究グループによる同一誌に掲載された結果に相反するものとなった。

また、心房細動(AF)の高齢患者は心不全を併発することが多いが、この適応でもジゴキシンは認可されている。心房細動は最も一般的な不整脈であり、心臓調律や鼓動速度を狂わせる電気的機能不全である。症状は認められないこともあれば、失神するような患者も若干いるものの、めったに致死的とはならない。心不全は心臓ポンプ力を徐々に弱めていくもので、米国で毎年28万件におよぶ死亡の原因となっている。

両試験は、AFFIRM(心臓律動管理における心房細動の追跡調査)という無作為化比較試験の一環として、2002年に初めて収集されたデータを再解析したものである。ジゴキシンの死亡率上昇を示した最近の研究は、AFFIRM試験の追跡調査でジゴキシンを3.4年間以上投与し続けた患者と、投与し続けなかった患者の比較において統計的アプローチ「時間変動治療」を用いた。

今回の研究著者によれば、このアプローチは役立つものだが、重篤な疾患を治療する薬剤に当てはめると、誤った結果をまねく可能性があるという。患者が心不全を起こしてジゴキシン治療を長期継続した場合、実際は心不全に起因する高死亡率をジゴキシンによるものだと誤って考えてしまう可能性があるという。

アラバマ大学バーミングハム校(University of Alabama at Birmingham:UAB)医学部の老年学・老人病学・緩和ケア部門および心血管疾患部門の教授で今回の新規研究の主著者アリ・アハメド(Ali Ahmed)博士は「AFFIRM試験の試験開始時に心不全患者の約4分の3がジゴキシン投与を受けており、これらの患者におけるジゴキシン使用は心不全が原因であると示唆されることが明らかとなった」と語った。「ジゴキシン群のうち心不全に進展したのが何名かを考慮に入れると、ジゴキシンと死亡率との関連は消失した」

アハメド氏のチームは、傾向スコアマッチングというアプローチを用いてAFFIRM患者群を集めることとし、ジゴキシン投与患者と未投与患者を含め、うち全員が心房細動(例えば心不全)に加えて、その他の薬物療法や、年齢、性、および人種をはじめとする59個の類似した特性を有していた。3.4年間の追跡調査で、特性一致患者の14%がジゴキシンを投与されており、13%は死に至らなかったことを研究チームが明らかにした。

この差は試験の誤差幅のうちに十分入るもので、実質的にジゴキシンに関連する死亡率上昇はないことを示すものである(ハザード比1.06、95%信頼区間{CI}0.83~1.37、P=0.640)。また、特性一致患者における原因不問の入院(ハザード比 0.96; 95% CI, 0.85~1.09; P=0.510)や不整脈(ハザード比0.90、95% CI:0.37~2.23、P=0.827)にジゴキシンは関連しなかった。

心房細動だけに留まらず

ジゴキシンが心房細動の治療に有用であるという以外に、最近になって心不全患者の初回服用後30日以内入院確率を34%低下させることが示された。メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)が、肺炎・心発作・心不全患者における30日以内の再入院率が平均を上回った数千の病院に対して罰則を適用したことから、頻繁な入院を防ぐことが昨年の国家的優先事項となった。

メディケア(高齢者向け医療保険制度)加入者の5人に1人が30日以内に再入院し、それによる年間医療費が170億ドルに上り、その最も多い原因に心不全がある。ジゴキシンは息切れなどの急性心不全症状を軽減させることで知られるが、こうした息切れは救急外来に駆けつけざるを得ないような恐ろしい体験である。

ジゴキシンに関する目下の議論は、初回の臨床試験において死亡率を低下できなかった時点以後の長期的なジゴキシン使用率減少に終止符が打たれるというものである。処方率は初回臨床試験以降1990年代に3分の2になり、今日約3分の1まで落ちた。

しかし、近年の研究で、低用量ジゴキシンがβ遮断薬またはACE阻害薬と同じく、神経ホルモン系を遮断する可能性のあることが示された。これは低用量ジゴキシンが入院リスクを低下させるだけでなく、心不全における死亡リスクも低下させうることを示唆する試験結果を説明づけるものと考えられる。

新たな試験の主著者でノースウェスタン大学フェインバーグ医学部医学外科学教授ミハイル・ギョルゲイド(Mihai Gheorghiade)博士は「薬剤の安全性について疑問視する医学誌や相次ぐマスコミ報道は公衆衛生を保護するのに重要であることが多い」と述べた。「しかし、本件の場合、心房細動の管理におけるジゴキシンの役割を再評価する必要性はない。ジゴキシンにより死亡率は上昇しないという今回の結果は、心房細動に対するジゴキシンの継続使用について、医療現場や患者を安心させるものにちがいない」

科学界は大規模臨床治験の責任組織に対し、透明性向上やデータ共有を何年にもわたり訴え続けている、とアハメド氏は最後に述べた。アメリカ心肺血液研究所(NHLBI)はこの事案における先駆者で、 BioLINCC(生物試料&データレポジトリ情報調整センター)を設立しており、これによりアハメド氏のチームによって解析に用いられたAFFIRMデータの公共用コピーも利用可能となった。


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