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2012-10-10

ソース(記事原文):メッドペイジ・トゥデイ

スタチンが多発性硬化症の進行を遅らせる可能性

メッドペイジ・トゥデイ(2012年10月10日)― 本報はメッドペイジ・トゥデイ(MedPage Today)誌の「臨床上の状況やその背景(Clinical Context)」という12ヵ月にわたる連載記事の中の一報である。

メッドペイジ・トゥデイ誌編集主任ジョン・ジュベール(John Gever)著

監修:ハーバード大学医学部(ボストン)臨床准教授ドリ・ザレズニク(Dori F.Zaleznik)と、看護プランナー(Nurse Planner)のドロシー・カプト(Dorothy Caputo)

リヨン発 ― 高用量シンバスタチン(商品名Zocor)は、二次進行型多発性硬化症患者における脳萎縮を有意に軽減させ、身体障害の進行を2年間遅らせることを、研究者らが発表した。

英国ロンドン大学(University College London)のジェレミー・チャタウェイ(Jeremy Chataway)博士は、患者140人を対象とした無作為化試験でシンバスタチン80mg/日を投与した患者では、年間脳萎縮率がわずか0.298%であったのに対し、プラセボ投与患者では0.589%であったことを報告した(P=0.003)。

総合障害度評価尺度(EDSS)と多発性硬化症インパクト尺度(MSIS)で測定したところ、障害進行の有意な減少についても本試験のシンバスタチン投与群で認められた、と同氏は欧州多発性硬化症治療研究会議(ECTRIMS: European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis)の年次総会で出席者らに語った。

ただし、歩行能力と手の器用さなどの特別な機能的転帰における治療群間の差については、統計的有意性が得られなかった。

一方、シンバスタチンが高用量であったにもかかわらず、副作用は両群間で同程度であったほか、重篤な筋毒性の症例はみられなかった、とチャタウェイ氏は述べている。同氏は「一般的に治療の忍容性は極めて良好であった」としている。

多発性硬化症の再発を予防する有効な薬剤が複数出現したことで、対処できずにいる重大な臨床的ニーズは同疾患の進行型への治療法となっている。再発寛解型多発性硬化症を有する患者のほとんどは、最終的に二次進行型を発症し、急性発作がおさまっても身体障害が悪化し続ける。

スタチン系薬剤は、コレステロール低下作用のほか、多様な抗炎症作用を持つので、多発性硬化症に対する治療候補として注目を集めた。

再発寛解型多発性硬化症の患者を対象とした2004年の試験では、MRIスキャンで脳病変の縮小が認められ、基礎疾患の病的過程に効果を与えることが示唆された。この再発寛解型を検討した試験が他にも実施されたが、最終的に臨床的有益性のないことが指摘された。

しかし、研究者らは再発寛解型から進行型に変わると、この疾患の基本的性質が変化し、後期段階でスタチンの有益性が高まりうるものと現時点で考えている。

それが今回の試験を駆り立てることとなり、二次進行型多発性硬化症と確定診断された患者を、高用量シンバスタチンまたはプラセボのいずれかを2年間投与する群に無作為に割り付けて実施された。

同研究者らは本試験の主要評価項目として脳萎縮を選択したが、これは二次進行型の発症時に基礎疾患の病的過程に与える影響を主に評価しようと考えたためである。同氏は、第3相試験では主要評価項目として臨床転帰を用いるのが理想であるとしている。

脳MRIスキャンは、治療開始の2週間前、1年後、2年後と、最終薬剤投与後30日の時点で施行することとした。10人の患者はMRIが紛失または不適切であり、有効性の解析対象には130人が残った。

被験者の平均年齢は約51歳で、進行性多発性硬化症の罹患期間は平均7年で、うち約3分の2は女性であった。約14%がここ1年以内に再発し、18%はここ2年以内に再発しており、この再発率はプラセボに割り当てられた患者で高かった。

試験開始前のEDSSスコア中央値は6で、平均5.8であった。MSISスコアは平均70であった。

シンバスタチンに割り当てられた患者は、1ヵ月目に40mg/日の投与を受け、残りの試験期間で80mg/日まで増量された。投薬遵守率は良好で、患者の70%~90%が、どの時点でも計画された用量全てを投与されていた。

主要評価項目としての全脳容積の年間萎縮率は、シンバスタチン群とプラセボ群の間の差が0.254パーセントポイントになり、スタチン群のほうが優れていた(95% CI 0.085~0.423)。

以下の副次的評価項目は、シンバスタチン群とプラセボ群を比較したもので、試験開始前との変化を群間差で示したところ、実薬(シンバスタチン)による治療のほうが有意に優れていた。
・ EDSSスコア: -0.254(95% CI: -0.464 ~ -0.069)
・ MSIS総スコア: -4.78(95% CI:-9.39 ~ -0.02)
・ MSIS身体的サブスコア: -3.73(95% CI:-7.18 ~ -0.28)

チャタウェイ氏は、試験開始前のEDSSスコアと比べて、0.5ポイント以上の実質的改善を示したのは、シンバスタチン群で約10%であったのに対し、プラセボ群では0%であったと指摘した。

他の臨床上の副次的評価項目においても、シンバスタチン群のほうが優れていたが、統計的有意性は得られなかった。具体的には、多発性硬化症の機能的複合指標を用いて評価した全体および活動項目ごとの機能的能力やMSIS心理的サブスコアなどの項目がある。

新たなT2病変拡大の割合や人数、もしくは再発については治療群間の差は認められなかったが、こうした結果は二次進行型の患者集団で予想されていたものである、とチャタウェイ氏はメッドペイジ・トゥデイ誌に語った。

盲検下の治験責任医師による判定では、両群の患者の約20%で治療と因果関係のある有害事象が認められた。チャタウェイ氏は、高用量スタチンを用いているので筋肉関連疾患を警戒していたが、こうした懸念事項は確認されなかった。

二次進行型多発性硬化症における第3相試験だけでなく、一次進行型多発性硬化症における第2相試験も必要とされる、と同氏はメッドペイジ・トゥデイ誌に語った。

チャタウェイ氏の発表後に設けられた報道会見で、欧州多発性硬化症治療研究会議(ECTRIMS)の主導者らは、今回の結果は有望であるものの、シンバスタチンが二次進行型多発性硬化症に対して有効であると言うのには時期尚早であるとしている。

ECTRIMSグループの代表マイケル・クラネット(Michel Clanet)博士は、脳萎縮は代替評価項目(臨床指標の代りに使われる測定値)であると指摘した。この患者集団にスタチンの処方を検討する以前に、身体障害を予防するという決定的証拠が必要であることを同氏は示唆している。

ECTRIMS役員ザビエル・モンタルバン(Xavier Montalban)博士は、このコメントと同じ見解を示した。同氏は、代替評価項目と、臨床的に意義のある評価項目との間の「橋渡しとなるものが必要である」としている。

2012年度会議の議長を務めたクリスチャン・コンファベル(Christian Confavreux)博士は、脳萎縮に関するデータが不完全であると付け加えた。同氏によれば、本研究では全脳容積の萎縮に軽減が示された一方、具体的に実質的な脳組織の保持が反映されたものなのか、単に水分損失の予防が反映されたのか依然として明らかでないという。

本研究は、モールトン慈善団体(Moulton Charitable Foundation)、バークリー・グループ(Berkeley Group)、多発性硬化症試験の共同研究(Multiple Sclerosis Trials Collaboration)、および英国国立衛生試験所(U.K.National Institute of Health Research)によって助成された。

すべての研究著者が金銭的な利害関係のないことを公表した。

クラネット氏は、ジェンザイム社(Genzyme)、バイオジェン・アイデック社(Biogen Idec)、およびバイエル社(Bayer Schering)から顧問料/講演料を受け取っており、バイエル社、バイオジェン・アイデック社、メルク社(Merck Serono)、ノバルティス社(Novartis)、アベンティス(アベンティス社)社、およびテバ社(Teva Pharma)から研究助成金を受け取っていることを報告した。

コンファベル氏は、バイオジェン社、ジェンザイム社、ノバルティス社、メルク社、アベンティス、テバ社、UCB社から顧問料を受け取っており、バイエル社、バイオジェン社、ジェンザイム社、LFB社、メルク社、アベンティス、およびテバ社から講演料を受け取っているほか、バイエル社、バイオジェン社、ジェンザイム社、メルク社、ノバルティス社、アベンティス、およびテバ社から研究支援を受けていることを報告した。

モンタルバン氏は、バイエル社、バイオジェン社、メルク社(EMD Merck Serono)、ジェネンテック社、ジェンザイム社、ノバルティス社、アベンティス社、テバ社、アルミラル社(Almirall)、およびBTG社との関係を報告した。


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