【警告】
タイケルブ250mgを含む化学療法は、緊急時に充分対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師のもとで本療法が適切と判断される症例についてのみ実施してください。また治療開始に先立ち、有効性および危険性を充分理解し、同意してから使用してください。
・重篤な肝機能症があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、タイケルブ250mg使用開始前および使用中は定期的に肝機能検査を行ない、状態を充分に観察してください。タイケルブ250mg使用中に重篤な肝機能障害がみられた場合には、タイケルブ250mgの使用を中止するなどの適切な処置を行なってください。
・間質性肺炎、肺臓炎などの間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱など)の確認および胸部X線検査の実施など、観察を充分に行なってください。異常が認められた場合には、使用を中止するなどの適切な処置を行なってください。
【禁忌】
・タイケルブ250mgの成分に対し過敏症の既往歴のある人
・妊婦または妊娠している可能性のある人
【慎重服用】
・肝機能障害のある人: 肝機能障害が悪化するおそれがあります。ラパチニブは主として肝臓で代謝されるので、AUCが増加するおそれがあります。
・間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)のある人、またはその既往歴のある人: 間質性肺疾患が増悪するおそれがあります。
・心不全症状のある人、またはその既往歴のある人: 症状が悪化するおそれがあります。
・左室駆出率が低下している人、コントロール不能な不整脈のある人、臨床上重大な心臓弁膜症のある人: 症状が悪化するおそれがあります。
・高齢者
【重要な基本的注意】
・AST(GOT)、ALT(GPT)、ビリルビンなどの著しい上昇を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、タイケルブ250mgの使用開始前および使用中は定期的に肝機能検査(AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPおよびビリルビンなど)を行ない、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行なってください。
・間質性肺炎、肺臓炎などの間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱など)の確認および胸部X線検査の実施など、観察を充分に行なってください。また必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(CLco)などの検査を行なってください。
・心不全などの重篤な心障害があらわれることがあるので、必ずタイケルブ250mgの使用開始前には心機能検査を行ない、心機能を確認してください。また、タイケルブ250mgの使用中は適宜心機能検査(心エコーなど)を行なうなど、状態を充分に観察し、異常が認められた場合には休薬、減量または中止し、適切な処置を行なってください。
・QT間隔延長があらわれることがあるので、タイケルブ250mgの使用開始前およびタイケルブ250mgの使用中は適宜心電図検査を行なうなど、状態を充分に観察し、異常が認められた場合には休薬、減量または中止し、適切な処置を行なってください。
【効能または効果に関連する使用上の注意】
・【臨床成績】の内容を充分に理解した上で、使用の選択を行なってください。
・充分な経験を有する病理医または検査施設における検査により、HER2過剰発現が確認された人が使用してください。
・カペシタビンと併用する場合には、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤およびトラスツズマブ(遺伝子組換え)による化学療法後の増悪もしくは再発例を対象としてください。
・アロマターゼ阻害剤と併用する場合には、ホルモン受容体陽性かつ閉経後の人を対象としてください。
・タイケルブ250mgの術前・術後補助化学療法における有効性および安全性は確立していません。
【用法および用量に関連する使用上の注意】
・カペシタビンと併用する場合には、「臨床成績」の内容、特に、用法・用量および用量調節方法を充分に理解した上で行なってください。
・タイケルブ250mgを単剤で使用した場合の有効性および安全性は確立していません。
・食後にタイケルブ250mgを服用した場合、CmaxおよびAUCが上昇するとの報告があります。食事の影響を避けるため食事の前後1時間以内の服用は避けてください。
・1回の使用量を1日2回に分割服用した場合、AUCが上昇するとの報告があるので、分割使用はしないでください。
・副作用により、タイケルブ250mgを休薬、減量または中止する場合には、副作用の症状、重症度などに応じて以下の基準を考慮してください。
<
海外臨床試験におけるタイケルブ
250mg
の休薬、減量および中止基準
>
駆出率低下および間質性肺炎による休薬、減量および中止基準(
A
)
有害事象
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発現回数
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処置
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無症候性の
駆出率低下注1)
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1回目
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使用継続
(1-2週後に再検)
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回復:使用継続
|
持続:休薬
(3週間以内に再検)
|
回復:カペシタビンとの併用においては1000mg/日、アロマターゼ阻害剤との併用においては1250mg/日に減量して再開可能
|
持続:中止
|
2回目
(減量前)
|
1回目に準じる
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2回目
(減量後)
|
中止
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症候性の駆出率低下
(Grade 3、4)
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―
|
中止
|
間質性肺炎
(Grade 3、4)
|
―
|
中止
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注1)LVEFがベースラインから20%以上低下かつ施設基準値を下回った場合
肝機能検査値異常による休薬、減量および中止基準(
B
)
有害事象
|
処置
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総ビリルビン
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ALT
|
>2.0×ULN
(直接ビリルビン>35%注2))
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>3.0×ULN
|
中止
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上記以外
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>8.0×ULN
|
休薬(2週間後に再検)
有効性が得られている場合、カペシタビンとの併用においては1000mg/日、アロマターゼ阻害剤との併用においては1250mg/日に減量して再開可能
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>5.0×UNL注3)
(無症候性にて2週間継続)
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>3.0×UNL
(症候性注4))
|
>3.0×UNL
(無症候性)
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継続(1週間ごとに再検)
ALT>3.0×ULNが4週間継続した場合は中止
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―
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≦3.0×ULN
|
継続
|
注2)測定していない場合は>35%とみなす
注3)ALT>5.0×ULN発現時点で2日以内に再検し、その後1週間ごとに検査
注4)肝炎または過敏症の徴候・症状(疲労、嘔気、嘔吐、右上腹部の痛みあるいは圧痛、発熱、発疹または好酸球増加)のいずれかの発現もしくは増悪
好中球数、血小板数、ヘモグロビン、クレアチニンおよびクレアチニンクリアランス検査値異常による休薬、減量および中止基準(
C
)
有害事象
|
処置
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500/mm3≦Neu<1000/ mm3
2500/ mm3≦Pt<75000 mm3
6.5g/dL≦Hb<9.0g/dL注5)
1.5mg/dL<Cre≦6×ULN
CCr<40mL/min
|
休薬(Grade 1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
1回目: 減量せず再開
2-3回目:減量せず、またはカペシタビンとの併用においては1000mg/日、アロマターゼ阻害剤との併用においては1250mg/日に減量して再開
|
Neu<500/ mm3
Pt<25000/ mm3
Hb<6.5g/dL注5)
Cre>6×ULN
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休薬(Grade 1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、
減量、継続、再開などは事象ごとに判断
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注5)輸血時は輸血後の数値
上記A-C以外の有害事象発現時の休薬、減量および中止基準
有害事象
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処置
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Grade 2
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1-2回目:減量せず継続
3回目:減量せず、またはカペシタビンとの併用においては1000mg/日、アロマターゼ阻害剤との併用においては1250mg/日に減量して継続
4日目:カペシタビンとの併用においては100mg/日、アロマターゼ阻害剤との併用においては1250mg/日に減量して継続
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Grade 3
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休薬(Grade
1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、発現回数にかかわらず、減量せず、またはカペシタビンとの併用においては1000mg/日、アロマターゼ阻害剤との併用においては1250mg/日に減量して再開可能
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Grade 4
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休薬(Grade 1以下に回復するまで最大14日間可能)した後、減量、継続、再開などは事象ごとに判断
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【その他の注意】
・海外で実施されたプラセボ対照無作為化比較試験でのラパチニブ単独使用群において、HLA遺伝子型が特定された人のうち、HLA-DQA1*02:01またはDRB1*07:01の保有者での重篤な肝機能障害(ALTが>5.0×ULN)の発現頻度は7.7%であり、非保有者での発現頻度は0.5%であったとの報告があります。
なお、これらのHLA遺伝子型の保有率は、白人、アジア系、アフリカ系などの人種では概ね15-30%ですが、日本人では2%未満との報告があります。
【高齢者】
・高齢者では一般に生理機能が低下しているので、状態を観察しながら注意して使用してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊娠中の使用に関する安全性は確立していないため、妊婦または妊娠している可能性のある人は使用しないでください。また、妊娠可能な人はタイケルブ250mgの使用中は適切な避妊を行ない、妊娠しないようにしてください。
・授乳中の人が使用する場合は授乳を避けてください。
【小児など】
・小児などに対する有効性および安全性は確立していません。