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2013-10-14

ソース(記事原文):ニュース・メディカル

プレガバリン剤は心臓手術後の慢性痛発生率を減少させるのに有用

ニュース・メディカル(2013年10月14日)― 2013年麻酔科学会(ANESTHESIOLOGY)の年次総会で発表された研究によれば、プレガバリン剤を心臓手術前と手術後14日間にわたり使用した場合、手術後の慢性痛発生率が低下するという。また、術後に長期的持続痛を発症するリスクのある患者は、手術時の痛覚感受性検査により予測可能であることが、本研究で明らかにされた。

英国のロンドン大学クイーン・メアリー校医学部(Barts and the London School of Medicine and Dentistry)研究員シブテイン・アンワル(Sibtain Anwar)博士は「心疾患は痛みや機能障害を伴う場合があるが、それを治療するために心臓手術を行うと、切開部周辺に新たな持続痛を招くことが多く、同様の機能障害や負担が生じる」と述べている。「本研究では、手術後の持続痛を発症するリスクのある患者を特定する方法と、プレガバリン治療を用いて予防する方法を明らかにした」

今回の二重盲検無作為化対照試験では、心臓手術を受ける予定の患者150人を3群に分けた。1つ目の群では、手術前と、手術後14日間にわたりプレガバリンを投与することとした。2つ目の群では、1つ目の群と同じプレガバリン治療に加えて、手術後48時間にわたりケタミンを点滴することとした。3つ目の群では、プラセボ(偽薬)に基づく治療を行うこととした。その他の外科や麻酔のケアは同じとし、手術後にモルヒネによる自己調節鎮痛法も含めた。

手術前後に、患者の神経系における定量的感覚試験を実施した。これは、研究室における試験的疼痛に対する神経系反応から、その後の術後疼痛にどう反応するのかについての理解が得られるのではないかというアイデアに基づくものであった。具体的な方法は、胸部の4ヵ所に一定の圧力をかけて痛みを誘発し、次に血圧測定用加圧帯できつく締めることで腕に「注意転換」の二次痛を与えるというものである。腕の注意転換疼痛の前後と、手術前後において、患者の痛覚感受性の変化を測定することで、数ヵ月間にわたる持続痛がその後発生するのかどうかを予測できるということが、本試験で明らかとなった。

また、プレガバリン投与が手術後の持続痛発生率を低下させることも明らかにされ、この発生率は3ヵ月時点で患者の10%、6ヵ月時点で8%であった。プラセボ群の疼痛発生率は、3ヵ月時点で50%、6ヵ月時点で46%であった。2つ目の群でのケタミン追加は、手術後の疼痛に有意な影響を与えないことが、本試験で示された。

また、本試験では、個々の患者の精神状態も重要であることが示された。アンワル氏は「興味深かったのは、手術までの数日間における患者の不安や心配が、手術後の急性痛および持続痛に直接的かつ非依存的な影響を及ぼしたことである。一般的に痛みに関する肯定的な考え方や態度が、長期的な疼痛転帰を改善させる」と説明している。この観察結果が、脆弱な患者を手術前に特定し、慢性痛リスクについての納得診療(説明と同意)や話し合いをするうえで、医師の役に立つ可能性がある。

心臓手術後の慢性痛は根治手術の重篤な副作用である。心臓手術後の慢性痛発生率は、11%~56%と幅がある。アメリカ心肺血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute)によれば、米国では毎年50万件以上の心臓手術が施行されている。

出典:アメリカ麻酔科学会


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