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2011-09-14

ソース(記事原文):メドページトゥデイ

欧州糖尿病学会(EASD):リラグルチドとインシュリンの併用療法は体重増加を招かない

メドページトゥデイ(MedPage Today:オンライン医学ニュースサイト)(2011年9月14日)―この報告は12か月にわたる一連の臨床試験の一部である。

寄稿 エド・ズースマン(Ed Susman)

審査 ドリ F.ザレズニク医学博士(Dori F. Zaleznik);医学部准臨床教授、ハーバード医科大学院、ボストン(Harvard Medical School, Boston)ならびに ドロシー・カプト文学修士、登録看護師、BC管理者、認定糖尿病療養指導士、看護計画立案者(Dorothy Caputo)

注意事項

・本研究に関して公開し、会議で発表したのは摘要のみであることに注意してほしい。審査を受けて学術専門誌に掲載されるまでは、ここに挙げるデータと結論は予備的なものとみなす必要がある。

・薬物療法だけを行っているII型糖尿病患者を対象にリラグルチド+インスリンデテミルと、メトホルミンの効果を比較した試験では、インシュリン使用患者においてHbA1cが有意に減少したことを述べる。

・52週間の試験期間中、インシュリン使用患者には一度も低血糖症状が発生せず、体重増加も見られなかったが、体重減少はリラグルチド+メトホルミンのみの投与を受けた患者のほうが大きかったことに注意されたい。

リスボン(Lisbon)発-リラグルチド(商品名ビクトーザ:Victoza)使用中のII型糖尿病患者の治療計画にインシュリンを追加しても体重減少は引き続き認められ、インシュリン自体もこれらの患者の血糖管理に役立っているように思われる、と研究者らが当地で述べている。

ウェールズにあるスウォンジー大学(Swansea University in Wales)の医学部教授であるスティーブン・ベーン医学博士(Stephen Bain)によると、リラグルチド+メトホルミン投与で血糖管理できなかった患者群にインスリンデテミル(商品名レべミル:Levemir)を追加処方するとグリコシル化ヘモグロビンA1cを治療1年後に0.5%余分に減少させる効果がある(P <0.0001)という。

「本試験から得られる現実的な教訓は、GLP-1受容体作動薬(リラグルチド)とインシュリンの組合せは有効で安全そうに思われ、低血糖が起こりにくく、体重減少を維持できるということです。」リスボンで開催された欧州糖尿病学会(the European Association for the Study of Diabetes:EASD)年次総会での発表を終えた同博士はメドページ・トゥデイにこう語った。

この併用療法では体重が減少しHbA1cの管理に成功するが、これを考えると本試験で低血糖の発生率が低かったのは驚きだったと言う。

本試験では目立った低血糖の発生はなく、軽度の低血糖はインシュリン+リラグルチド+メトホルミン群で1年につき0.228例発生した。その一方、インシュリン治療患者を対象にした他の試験では3%前後の被験者に軽度の低血糖が発生したと博士は指摘した。

1年間にわたる試験で、当初リラグルチド+メトホルミン併用療法を受けていた患者は体重が約3.5kg減少し、その後インシュリンを追加処方されてもこの体重を維持できた。リラグルチド+メトホルミンのみの投与を続けた群では体重は約5kg減少した。この差は統計的に有意であった(P = 0.04)。

インシュリン処方に関する懸念の1つは患者の体重が増加することだと博士は言う。II型糖尿病患者の顕著な特徴の1つが過体重で、インシュリン使用により更に体重が増加するという見通しは臨床医と患者にとって悩みの種なのだという。

しかし、本試験においては杞憂に終わった。

研究者らはスルホニル尿素+メトホルミン治療ではHbA1cを7%まで下げるという目標を達成できなかった患者988名を被験者として、リラグルチド+メトホルミンによる12週間の慣らし投与をした;慣らし投与が完了する前に167名が脱落した。

3ヵ月後にリラグルチドを追加して、代わりにスルホニル尿素を投薬計画から除くと498名が目標を達成できた。これらの患者を52週間にわたって経過観察した。

この時点でHbA1cが7%を超えていた残りの323名のうち、博士らは161名を引き続きリラグルチド+メトホルミン治療群に、162名をリラグルチド+メトホルミン+インスリンデテミル治療群に割り当てた。

この患者らのHbA1c値は慣らし投与終了時に平均約7.7%で目標を達成できていなかったわけだが、52週間後にはHbA1cが平均0.01%さらに増加していた。一方、インシュリンを使用した患者では0.50%低下した。慣らし投与後にHbA1c値の目標を達成した患者を実測的に経過観察したところ、HbA1c値の平均は7%未満のまま推移した。

試験終了時:

・リラグルチド+メトホルミン群の21.5%がHbA1c値7%未満という目標を達成した。

・リラグルチド+メトホルミン+インシュリン群では51.9%が目標を達成した。

・経過観察した患者の72.7%がHbA1c値を7%以下で維持した。

「現時点では、この治療計画は一般的ではありません。」ミカエラ・ディアマント医学博士、博士(Michaela Diamant)は言う。アムステルダム自由大学医療センターにある糖尿病センター(the Diabetes Center at VU University Medical Center in Amsterdam)の糖尿病学教授ならびに責任者である。ベーン博士が研究を発表したセッションで司会を務めた。

「先生方はインシュリン治療の開始をできるだけ遅らせたいとお考えだと思います。」ディアマント博士は今日、メドページ・トゥデイに語った。「この治療を承認している国は現在ありません。しかし5年後には-GLP-1作動薬についてもっと自信が得られ、経験を積んで-こんなふうに恩恵を受けられる患者さんが増えているでしょうね。」

博士は、GLP-1薬剤を使ってインシュリンの用量を減らす可能性も示唆したが、「これについて判断するには更に研究が必要です。」と述べた。

ベーン博士の試験では被験者は50代半ばで約55%が男性だった;6.6年から8.5年前に糖尿病と診断され、HbA1c値は平均で8%を超えていた。しかし、経過観察した患者群では平均7.7%だった。経過観察した患者群の体型指数は約35 kg/m2だった;平均血圧は収縮期が約135 mm Hg、拡張期が約80 mm Hgだった。

事前に定めた複合エンドポイントは HbA1c値を7%未満にして体重を増加させず、低血糖を起こさせないというものであったが、リラグルチド+メトホルミン投与を継続し経過観察した患者群の38.8%がこの目標を達成した。これに対し、インシュリン投与群に無作為割り付けされた患者全体では25.9%、リラグルチド+メトホルミン継続投与に割付けられた患者群全体では16.8%だった(P = 0.06)。

ベーン博士はノボ・ノルディスク社(NovoNordisk)、イーライ・リリー社(Eli Lilly & Company)、MSD社(Merck, Sharp & Dohme)、べーリンガーインゲルハイム社(Boehinger Ingelheim)、ブリストル・マイヤーズスクイブ社(Bristol-Myers Squibb)、サノフィ・アベンティス社(sanofi-aventis)、グラクソ・スミスクライン社(GlaxoSmith Kline)、アストラゼネカ社(AstraZeneca)、武田薬品工業との商業的な関係を公開している。

ディアマント博士は、イーライ・リリー社、メルク社(Merck)、ノボ・ノルディスク社との商業的な関係を公開している。


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