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2016-04-15

ソース(記事原文):Medical News Today

ワルファリンの知識が不充分な患者は
致死的な副作用が増える可能性

【Medical News Today】(2016年4月15日)

ノルウェーのベルゲンにあるハウケラン大学病院看護師研究科のシャスティ・オターハルス医師が本日、2016年欧州循環器疾患看護会議で発表した内容によると、ワルファリンに関する知識に乏しい患者は、重篤な副作用のリスクが増加するかもしれないそうだ。

「ワルファリンにより起こる脳卒中や出血性合併症は命にかかわることがあります」とオターハル医師。「世界的にワルファリンは薬剤関連副作用によるほとんどの死の原因となっています。患者たちはどんな食べ物や薬物がワルファリンの作用に影響を与えるか、また過剰服用や過少服用による症状があるかどうかを知っておく必要があります」。

ワルファリンは、心房性細動や機械弁などの状態により起こる血栓のリスクが上昇している患者に投与される。血栓は血液中を通って脳まで移動し、脳卒中を引き起こすことがある。ワルファリンはビタミンKの抗凝血作用を遅らせることで「血液を希釈」し、それにより血液が固まる時間を延長させて脳卒中のリスクを下げる。ワルファリンの過剰摂取は出血リスクを上昇させる。

ワルファリンを使用する患者は、遺伝子、日常の食事や薬、身体活動などにより個人に合った量を服用する。最初に患者は、血液がどれくらいの時間で固まるかを示す国際標準化比(INR)を調べるために血液検査を毎日受ける。ワルファリンを使用していない人のINRは1以上あるが、機械弁を持つ患者は、作られた血栓が脳に達して脳卒中を起こすことを予防するためにINRは2.5-3.5であるべきである。

「脳卒中の予防のために、血液を充分に薄めることが目標ですが、薄すぎても、また出血を起こすようであってもいけません」とオターハル医師。「INRの3は、ワルファリンを使用していない人よりも3倍止血に時間がかかることを意味します。もし患者のINRが目標値よりも低い場合は血栓症のリスクが高いことになり、またその値を超えると出血性合併症のリスクがあることになります。どんな食べ物や薬がワルファリンと相互作用を起こすかという知識が欠けている場合、INR値は治療域を超えて危険なレベルになることがあります」。

試験にはワルファリンを使用している大動脈弁狭窄症の患者404人が参加した。ほぼ3分の2(63%)は大動脈弁狭窄症の治療による機械弁を取りつけているため、また24%は心房細動のためにワルファリンを使用していた。患者の平均年齢は68歳、また70%が男性であった。

患者たちは、ワルファリンに関する28の多項選択肢式の質問を含む質問票を郵送で受け取っていた。うち平均で18の質問には正しく回答したが、22%の人は質問の半分以下しか正解できなかった。最低限の質問に正解した人は、食べ物や薬剤の相互作用、医師の診断時期について気にかけていた。

セロリ、ニンジン、コールスロー、サヤマメのどれがワルファリンと相互作用を起こすかの質問には、コールスローと正しく回答した患者はわずか25%で、多くはサヤマメを選択した。

「患者はよく、緑色の野菜がもっとも多くビタミンKを含んでいると思っているようですが、それは違います」とオターハルス医師。「キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科の野菜に豊富なのです。患者さんたちはこれらの食べ物を避ける必要はありませんが、ビタミンKはINRを減少させ、血栓症や塞栓症のリスクを上昇させるため、毎週同じ量を摂取するようにしてください。ビタミンKを含む食べ物をたくさん食べる患者さんは高用量のワルファリンを服用できますが、それを続けなければなりません」。

80%の人が、もし鼻血が出て止まらなくなったら救急室に直接行くべきであることは知っていたが、下痢が1日以上続く場合は医者に行かなくてはならない、と正しく答えたのはわずか45%であった。また86%の人は、INR試験がワルファリン使用中の血液濃度を薬剤師が知るための検査であることを理解していた。

この研究では、年齢が上がるにつれ正解が減ることがわかった。オターハルス医師は以下のように語っている。「私たちはその理由を推測することだけができます。若い人はどうすれば病気に対処できるかについて情報を追求する傾向がありますが、高齢者は医者に自分たちが何をすべきなのかを言って欲しいからです」。

またさらに彼女はこのように続ける。「前向きな患者はINR検査キットを入手すべきです。ちょうど糖尿病の人がインスリンを使用するように、自分の数値を監視して自分でワルファリンの量を調整することができます。そうすれば旅行先で検査病院をわざわざ探す必要もありませんし、また新しい食べ物を食べることも可能になります。患者さんは私に、暑い天気はINRが上昇し、またほかの患者さんはアジアでは海苔がINRを低下させたと話してくれています」。

ワルファリンのチェックリスト

  • ●食事: 一貫してビタミンKを摂取し、新しい食べ物の成分を確認する。例え微量値であっても大量に摂取するとINRに影響を与える。

  • ●薬剤: 抗生物質はINRを増加させる。植物薬の摂取は避ける。販売薬については質問する。

  • ●医者への連絡: 鼻血は血液が薄すぎる証拠。下痢はビタミンK流出を引き起こす。

  • ●運動: 定期的に運動する患者は、高用量のワルファリンが必要。

  • ●一貫:通常と外れることはどれくらいワルファリンに影響するかを確認する。

    「ワルファリンは救命薬ですが、注意して使用しない場合は命にかかわることがあります。医療専門家はその薬を使用する患者に指導する責任がありますが、あいにく心臓関係の看護士も充分な知識を持っていません。ですから、患者に正しい情報を伝えるためにも、医療専門家のワルファリンに関する知識を緊急に改善する必要があります」とオターハルス医師は締めくくっている。


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