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1999-09-16

ソース(記事原文):BBCニュース

乳がん治療薬は大いに期待できる

1999年9月16日

進行乳がんに罹患した女性に治療薬が効く

進行乳がんに罹った閉経後女性にとって恩恵となるかもしれない。ある医薬品が臨床試験で極めて有望な結果を出しているのだ。この薬はアナストロゾールといい、アリミデックスという商品名でゼネカ社(Zeneca)が販売しているが、現在の治療薬タモキシフェンの優位に疑問を投げかけることになるかもしれないと一部の科学者は考えている。タモキシフェンは副作用として子宮がんや血栓症、顔面潮紅を起こすことがある。

しかし、がん研究を支援している慈善団体キャンサーリサーチキャンペーン(The Cancer Research Campaign(CRC))は警告している。アナストロゾールをタモキシフェンの現実的な代替薬とみなす前にもっと証拠を集める必要がある、と言うのだ。

1,000人以上の患者が参加する国際的な大規模試験の結果、アナストロゾールタモキシフェンと比べ有効性も忍容性も同等かそれ以上に高いことがわかった。このことはウィーンで開催中の欧州癌学会(the European Cancer Conference)で木曜日に発表される。

この試験のうち米国で行われている部分から得られた初期の結果は、アナストロゾールの方がタモキシフェンより有効だというものであった。

この結果の資料は規制当局に提出される。閉経後女性の進行乳がんに対する第一選択薬として医師がアナストロゾールを処方できるようにするためだ。

アナストロゾールは現在、タモキシフェンや他の薬が効かなかった患者にしか投与されていない。

専門家は驚いた

米国での試験結果はこの分野の専門家の意表を突くものだった

この試験ではまた、タモキシフェンを服用した女性はアナストロゾールを服用した女性と比べて乳がんが進行してしまう危険性が44%高いとわかった。

このことが示しているのは、閉経後女性の進行乳がんを治療する上でアナストロゾールはより有効な選択肢でありえるということだ。アナストロゾールタモキシフェンとは違う形で作用する。

カナダのエドモントンにあるアルバータ大学医学部 (University of Alberta School of Medicine )とクロスがん研究所 (the Cross Cancer Institute)のジャン-マルク=ナボルツ教授 (Professor Jean-Marc Nabholtz)は有効な治療薬候補を探す研究者の一人だがこう述べている。「タモキシフェンアナストロゾールもともに閉経後女性の進行乳がんに対する有効な治療薬であることはわかっています。しかし両者を直接比較する臨床試験はこれまでありませんでした。」

「興味深いのは両者は全く違う形で作用するということです。─ タモキシフェンは主として、腫瘍細胞のエストロゲン受容体にエストロゲンが結合するのを妨げます。一方アナストロゾールはエストロゲンの合成を阻害することで結果的にエストロゲン受容体に結合するエストロゲンの量を減らすのです。」

「作用の仕方が違うのですからこの2つの化合物は副作用の面でも違う可能性があります。」

報告された副作用の数は両者でほぼ同じだったが、アナストロゾールの方が循環器系での血栓形成は少なかった。

この試験のうち欧州で行われた分では、アナストロゾールの方がタモキシフェンより有効だという結果は得られなかった。

これは米国での試験では被験者女性の88%以上がエストロゲン受容体陽性の乳がんに罹患していたのに対し、欧州での試験では43%に留まっていたからかもしれない。

フランスのリールにあるがん研究所オスカーランブレセンター (the Centre Oscar Lambret)のジャック=ボネテール教授(Professor Jacques Bonneterre)は、欧州での試験で治療薬候補を探している一人だ。教授は言う。

アナストロゾールの方がはるかに有効である可能性を北米での試験は明確に示しています。

そして忍容性に関してもアナストロゾールの方が若干高いかもしれません。こういった結果が意味しているのはただ1つ、臨床医と患者さんにとって治療のために使える選択肢が増えると期待できるということです。」

もっと情報が必要だ

CRC会長のゴードン=マクヴィー教授 (Professor Gordon McVie)は、結果は「興味深い」としながらも、アナストロゾールを選択薬にしようとする性急な動きにはいかなるものであれ反対だ、と釘を刺し、こう述べた。

「この薬をタモキシフェンの代わりに第一選択薬にするべきだとはっきり結論を出す前に、臨床試験でもっとたくさん情報を集める必要があります。

タモキシフェンに関しては1000万人の女性に投与してきた長年の経験がありますから、安全性については隅々までわかっているんです。」

早期の手術可能な乳がんに対するアナストロゾールタモキシフェンの効果を比較する長期的な試験はすでにかなり進んでいる。その結果は2001年に発表の予定である。


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