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2010-04-21

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

善行や悪行は人を強くするのか

サイエンスデイリー(2010年4月21日)
ハーバード大学にて新しい研究が行われた。その研究結果は、善行により、我々の意志の力そして体力の限界が押し上げられる可能性があることを示すものであった。この研究に参加した人々の内、善いことをした人々(困っている人に手を差し伸べることを想像しただけの人々でさえも)の体力テストの成績は、そうでない人々の成績を上回っていた。

この研究は、ソーシャル・サイコロジカル・アンド・パーソナリティと呼ばれるジャーナルに掲載されており、悪いことをした後の体力が、良いことをした場合と同様に、又はそれ以上に体力・筋力が上昇することにも言及している。

ハーバード大学心理学部博士課程に在籍するカート・グレイ研究員は、これらは道徳的観念における自己充足的予言と呼ばれる効果であると説明している。

「善意的又は悪意的な行動を取る人々には、他の人々と比べて他人に与える影響力、意志を貫徹する力、そして不快感に対する耐性が大きいように見受けられます。そのような人々は、彼ら自身が善人又は悪人であると信じ、それを体現することにより、より大きな力を得ているのです」とグレイ氏は述べている。

グレイ氏の結論は、生まれながらに意志の強い人や自制心の強い人だけが英雄になれるという考え方と相反するものであり、英雄のように困っている人を助けようと思うことが人に力を与えるということである。

「ガンジーやマザー・テレザは、生まれながらにして特別に強い自制心を持っていたわけではないのかもしれません。もしかしたら困っている人々を助けているうちに、あの様な強い意志を持つようになった可能性もあります」とグレイ氏は言う。彼は、これを「モラル・トランスフォーメーション」と呼んでいる。なぜなら道徳心(モラル)には、普通の人を特別な力を持つ人に変身(トランスフォーメーション)させる力があるからである。

モラル・トランスフォーメーションはいろいろな可能性を秘めている。例えば、ダイエット中には、おいしそうな食べ物を見る前に、困っている人を助けて自制心を高める等の新しい方法がある、とグレイ氏は言う。

「職場のドーナッツに対抗するには、出勤前に募金をするのがきっと一番良い方法でしょう」とグレイ氏は述べている。
更に、この発見は、不安症や鬱の新しい治療に役立てられる可能性がある、と彼は述べている。「人の役に立つことが、不安症や鬱病を抱えている人々が再び自分の人生を取り戻す一番良い方法である可能性もあります」

これらの結論は、2つの研究に基づいている。最初の研究では、参加者に1ドルを渡し、自分の財布に入れるか募金するかのどちらかを選ぶように指示した。その後、5ポンドの重りを出来るだけ長く持つように指示したところ、募金をした人々は、募金をしなかった人よりも、平均で10秒ほど長く重りを持っていられた。

2つ目の研究では、参加者に、重りを持ちながら彼ら自身が人々を助ける話、人を傷つける話、又は他人に係わらない話のいずれかに関する架空の物語を書くように指示した。最初の研究結果と同様に、他人に係わらない話を書いた人に比べ、困っている人を助ける話を書いた人の方が身体的に強かった。

しかし、驚くべきことに、邪な考えを持つとみられる参加者の成績は、人の役に立つことを思い描いた参加者のそれよりも高かったのである。

「良い行いか悪い行いかに関わらず、道徳に関わる行動と体力・精神力には関係があるようです。人々は、人のために精力的に動いている人や悪いことをする人を見ると、“真似できないな”ですとか“どこからあんな力が湧いてくるんだろう”とよく思います。しかし実際には、身体的・精心的強さがあるから人助け(又は悪行)ができるのではく、善行(又は悪行)が人々を強くするのであるということを今回の研究結果は示しています」とグレイ氏は言う。

今回のグレイ氏の研究は、カナダ政府社会科学局及びインスティチュート・フォー・ヒューマンサイエンスの支援を受けて、なされたものである。