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2013-10-03

ソース(記事原文):エブリデイ・ヘルス

大腸癌におけるアスピリンの有益性を見出す手がかり

エブリデイ・ヘルス(2013年10月3日) ― アスピリンによる大腸癌の延命効果は、同剤の持つ抗血小板作用と相関する一方、一般的な腫瘍の変異や癌の病因・病理に関連する酵素とは関連しなかった。

メドページ・トゥデイ(MedPage Today)誌常勤のライター;チャールズ・バンクヘッド(Charles Bankhead)著

腫瘍検体1,000検体を分析したところ、アスピリンによる大腸癌の延命効果は同剤の持つ抗血小板作用と相関するが、一般的な腫瘍の変異や癌の病因・病理に関連する酵素には関連しないことが示された。

ヒト白血球抗原(HLA)クラスIを発現する腫瘍を有する患者では、大腸癌診断後に低用量アスピリンを服用すると、生存率が47%高くなった。HLA-Iとは、免疫活性、血小板活性化、および血小板凝集能のマーカーのことである。一方、アスピリン使用は、PI3KA変異やシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現と相関しなかった。

この結果から、アスピリンによる大腸癌の保護作用は腫瘍の移動・転移に関わる血小板活性の阻害に関連することが示唆されることが、マルリース・ライマース(Marlies Reimers)医学博士によって、オランダのライデン大学医療センターで開催された欧州がん学会(European Cancer Congress:ECC)で報告された。

ライマース氏はECC報道会見で「HLAクラスIは予測的バイオマーカーの役割を果たす可能性があり、これを大腸癌診断後のアスピリン治療により効果を得られる患者の特定に役立てられるとみられる」と語った。

この結果はPI3KAまたはCOX-2に及ぼすアスピリンの効果を否定するものではない、と同氏は補足した。なお、大腸癌におけるHLA-I発現と生存率との間の関連性を裏付けるために、無作為化臨床試験が必要とされる。そうした試験が現在アジアで実施されている。

「『全ての大腸癌患者にアスピリンを投与すべき』と言うには時期尚早である」とライマース氏は述べている。

複数の研究で、大腸癌(特に結腸を含む癌)でアスピリン使用と生存率との間に有益な関連が確認されている。いくつかのメカニズムがこの効果を説明づけると主張されているが、決定的な証拠は得られていない。

COX-2発現とPIK3CA変異は癌の進行に関与している。また、アスピリンは血小板活性化と血小板凝集能を阻害するものであるため、アスピリンのもたらす大腸癌生存率へのプラス効果には別のメカニズムが存在しうることが示唆される。

ライマース氏によれば「血小板は、血中腫瘍細胞を免疫系により排除されないように保護していると考えられている」という。「アスピリンの有益性は、免疫反応を誘発する腫瘍細胞表面上HLA-I発現によって左右される可能性がある」

大腸癌に及ぼす低用量アスピリン効果を検討するため、オランダの研究者らは大腸癌患者999人のデータを解析し、同患者の診療記録でアスピリン使用と生存率を結びつけた。全患者から採取した腫瘍検体でHLA-IとCOX-2発現を評価した。663人の部分集団における腫瘍検体では、PIK3CA変異も分析対象とした。

その結果、4年間の追跡調査で、大腸癌診断後の低用量アスピリンは、大腸癌による死亡確率を半減させることが示された。HLAクラスIタンパク質の発現を認めない腫瘍を有する患者では、アスピリン治療による有益性はみられなかった。

アスピリン使用と、PI3KCA変異やCOX-2発現との間に相互作用のないことがデータから示された、とライマース氏は述べている。例えば、COX-2強発現の腫瘍を有する患者は、COX-2弱発現の腫瘍を有する患者と生存率は同程度であった。

先行研究の報告では、大腸癌死亡リスクにPI3KCAおよびCOX-2が関与していることが示された。

この結果から、アスピリンは大腸癌に関連する2つの異なる血小板関連経路に作用することが示唆される。1つは大腸癌予防に関わる経路で、もう1つは原発部位からその他の身体部位へ転移する癌の持つ能力の抑制に関与する経路である。

ライマース氏は「今回の結果は後者の経路に関連するもので、転移への関与が強い」としている。「推測だが、血中に循環しているHLA陽性腫瘍細胞と血小板が相互作用して、これらの細胞の転移能を促進するのではないかと考えられる。この相互作用をアスピリンが妨害し、転移および大腸癌関連死亡リスクを低下させる」

HLA-I発現状態を明らかにする臨床検査は、PI3KCA変異およびCOX-2発現の検査法と比較して、シンプルで、広く利用可能であり、費用も安い。それでも、大腸癌の日常検査にHLA-I発現の検査を含める必要は今のところない、とライマース氏は繰り返した。

ライマース氏は質問に応じて、HLA-I発現、低用量アスピリン、および大腸癌生存率について評価する臨床試験は、特定の実際的問題を克服する必要があることを認めた。例えば、低用量アスピリンは世界の多くの地域で処方箋なしで入手可能であるため、臨床試験参加者はアスピリン服用群に割り付けられたか否かを問わず、アスピリンを自己判断で服用することが可能となる。

オランダでは低用量アスピリンに処方箋が必要なため、その点は問題が少ないとみられる。ただし、標準用量のアスピリンは店頭販売されている。

イェーテボリ(スウェーデン)にあるサールグレンスカ大学病院(Sahlgrenska University Hospital)のピーター・ナレディ(Peter Naredi)博士によれば、アスピリンの大腸癌生存率に及ぼす有益な作用が、免疫活性への影響に関連するという概念は、新しく興味深いものである。ライマース氏が報告した今回のデータは、この概念を引き続き研究していくことを支持するものであり、具体的には仮説に基づく効果を検証するための無作為化試験などの実施が挙げられる。


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