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2013-04-10

ソース(記事原文):FDA

FDAが後期乳癌の新薬を承認

FDA(2013年2月22日)― 米国FDA(FDA)プレスリリース

速報:米国食品医薬品局(FDA)は、HER2陽性の後期(遠隔転移のある)乳癌患者に対する新薬「カドサイラ(Kadcyla)」(ado-trastuzumab emtansine)を本日認可した。

HER2とは正常な細胞成長に関与するタンパク質である。一部の乳癌をはじめとして、いくつかの種類の癌細胞にはHER2発現量の増加が認められる(HER2陽性)。HER2陽性乳癌では、HER2タンパク発現量の増加が、癌細胞の増殖と生存期間に関与している。

カドサイラ治療の対象となるのは、別の抗HER2薬トラスツズマブや、乳癌治療に一般に用いられている化学療法剤の一種であるタキサンによる治療を受けたことのある患者である。

FDAの医薬品評価センター(Center for Drug Evaluation and Research)の血液学&腫瘍学医薬品オフィス(Office of Hematology and Oncology Products)責任者リチャド・パズドゥル(Richard Pazdur)博士は「カドサイラとは、トラスツズマブに癌細胞増殖を妨げるDM1という薬剤を結合したものである」と述べた。「カドサイラは、薬剤を癌病変部位まで到達させることにより、腫瘍を縮小させ、疾患進行を遅らせ、生存期間を延ばす。HER2タンパク質を標的とする承認薬としては4剤目になる」と続けた。

カドサイラは、臨床研究段階ではT-DM1と呼ばれていたものであり、FDA優先審査プログラムの下で審査された。このプログラムは、満足のいく代替療法が存在しない場合に安全かつ有効な治療を提供する可能性のある薬剤、もしくは市販の医薬品と比較して有意な改善をもたらす薬剤において、審査期間を6ヵ月間とし迅速審査するものである。HER2陽性乳癌の治療によく用いられてきたFDA承認薬には、トラスツズマブ(1998年)、ラパチニブ(2007年)、ペルツズマブ(2012年)などがある。

カドサイラの安全性と有効性の評価は、患者991人を対象とした臨床試験を実施し、カドサイラ投与群、もしくはラパチニブおよびカペシタビン(別の化学療法剤)の併用投与群のいずれかに無作為に割り付けて行った。癌が進行するまで、もしくは副作用に耐えられない状態となるまで、治療を行うこととした。本試験では、無増悪生存期間、癌の進行を認めない生存期間、全生存期間期間、死亡までの生存期間を評価することを目的とした。

その結果、カドサイラ群では無増悪生存期間の中央値が9.6ヵ月であったのに対し、ラパチニブとカペシタビン併用群では6.4ヵ月であったことが示された。全生存期間の中央値は、カドサイラ群30.9ヵ月で、ラパチニブとカペシタビン併用群25.1ヵ月であった。

肝毒性や、心臓毒性、死亡を引き起こしうるという注意を医療専門家らや患者に促す黒枠警告を追加するという指示の下でカドサイラは認可されている。また、本剤は生命を脅かす重篤な出生時欠損を引き起こすことがあるので、カドサイラ治療を開始する前に妊娠の有無を確認する必要がある。

カドサイラ治療患者から報告された副作用で最も多かったものは、吐き気、疲労、筋肉・関節の痛み、血液中血小板数の減少(血小板減少症)、肝臓酵素量の増加、頭痛、便秘であった。

乳癌は、女性における癌に関連した死亡の2番目に多い原因となっている。米国国立癌研究所(National Cancer Institute)によれば、2013年には232,340人が乳癌と診断され、うち39,620人が死亡すると推定されている。乳癌の約20%では、HER2タンパク発現量の増加が認められる。

カドサイラ、トラスツズマブ、ペルツズマブの販売元は、カリフォルニア州サウスサンフランシスコに本拠を置くロシュ社グループの1つであるジェネンテック社である。また、ラパチニブの販売元は、ノースカロライナ州のリサーチトライアングルパークに拠点を置くグラクソスミスクライン社である。


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