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2000-08-23

ソース(記事原文):BBCヘルス

抗がん剤はアルコール依存患者に有用

BBCヘルス(2000年8月23日) - がん患者の治療に使用する薬剤はアルコール依存患者の禁酒に役立つ、と研究者らは述べている。

オンダンセトロンという薬は、がん患者の吐き気の治療に用いられているが、米国の研究によって、この薬で重度の飲酒問題を抱える人の飲酒量が減らせることが明らかとなった。

テキサス大学の研究者らが行った試験で、同剤を投与した患者では、アルコール摂取量がほぼ3分の1になることが見出された。

また、同剤の投与群では、未投与群よりも、アルコールを控える傾向が強かった。

この研究で、オンダンセトロン投与群では、1日当たりのアルコール摂取量が平均1.5杯であることが明らかとなったのに対し、未投与群では平均3.5杯であった。

同様に、投与群では、11週間にわたる試験の70%の期間で、アルコールを断つことができたのに対し、未投与群では50%であった。

本試験の著者らは、今回の結果からオンダンセトロンが早期発症型アルコール依存症患者に作用することが示唆されるとしている。

アルコール依存症に対するその他の多数のアプローチに失敗していることから、今回の結果は同疾患に対する治療における飛躍的な進歩であることが示唆される。

早期発症型アルコール依存症になる人(通常25歳未満)は、この疾患に対する生物学的な素質があると考えられる。

これらの患者は、カウンセリングに対する反応が不十分であることが多く、反社会的行動を示す傾向が強いほか、再発率も高い。

この疾患の初期段階におけるアルコールへの渇望は、脳の化学物質のバランスの乱れによって引き起こされると考えられる。

テキサス大学の研究者らによれば、オンダンセトロンは、こうしたバランスの乱れに対処し、渇望を抑えることができるという。

米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association.:JAMA)の最新号で、著者らは「脳の不均衡」を改善するのにオンダンセトロンが役立つとしている。

テキサス医療大学(University of Texas Health Science Centre)の精神医学と薬理学の教授バンコール・ジョンソン(Bankole Johnson)博士は、「アルコール依存症は家系特有である場合があり、特定の脳異常は遺伝する可能性のあることが、何十年にもわたり知られている」と述べた。

「オンダンセトロンにより、これらの生物学的なアルコール依存患者において、飲みたいという衝動が有意に減少した。これは、おそらく根底にある脳の不均衡が改善されることに起因している」

飲酒問題に取り組む慈善団体(Alcohol Concern)によれば、英国では約100万人の子供が、両親または片方の親がアルコールを乱用する家庭で生活しているという。

1日あたり10,000人が、飲酒問題についての手助けを求めてアルコール科を受診していることが示唆される。

このうち、66%が男性で、36%は失業者、18%は路上生活者または仮住まいをしている人である。


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