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2014-04-22

ソース(記事原文):クリニカル・オンコロジー

抗真菌薬イトラコナゾールにおける基底細胞癌の抑制作用

クリニカル・オンコロジー(2014年4月) ― 医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)より

探索的試験において、イトラコナゾールを経口投与した基底細胞癌患者で、細胞増殖が減少し、腫瘍サイズが縮小した。今後、さらなる研究が必要と考えられる。

FDA認可済みの抗真菌薬イトラコナゾール(ヘッジホッグシグナル伝達経路拮抗物質)が、基底細胞癌に有効性を示し得るという仮説を研究者らが立てた。その理由として、別のヘッジホッグ経路阻害剤であるビスモデギブ(vismodegib、ジェネンテック社製造エリベッジ[Erivedge])が、手術不能または遠隔転移を有する基底細胞癌患者において有効であることが示され、FDAの認可を得たことが挙げられる。その第II相非盲検概念実証試験での主たる目標は、イトラコナゾールを投与すると、腫瘍サイズや腫瘍増殖を軽減させられるかどうかを評価することと、その投与量の選択肢を比較することにあった。

直径4 mm以上の基底細胞癌を1つ以上有する患者29人を評価した。1つ目のグループにおいて、患者15人に、生検から根治的切除術まで(通常4週間)、イトラコナゾール200 mgを1日2回経口投与した。同グループの別の10人には対照群として何も投与しないこととした。2つ目のグループは患者4人のみとし、イトラコナゾール 100 mgを1日2回、より長期間にわたり(平均2.3ヵ月間)経口投与した。

平均して、ビスモデギブ治療歴のない患者における腫瘍は24%縮小した(95%信頼区間:18.2%~30.0%)。研究者らによると、両治療群で同様の結果が得られ、より長期間にわたる低用量投与で臨床的に意義のある腫瘍サイズの縮小を得られることが示唆された。

イトラコナゾール200 mgを1日2回投与した患者から採取した生検をバイオマーカー解析したところ、ビスモデギブ治療歴のない患者において腫瘍細胞増殖が45%減少したことが示された(P=0.04)。これに対し、対照群とビスモデギブ治療歴のある患者では、細胞増殖に有意な変化は認められなかった。

本研究は、ダニエル・キム(Daniel Kim)氏らが実施したもので、イトラコナゾール治療で基底細胞癌の腫瘍が消失した患者は一人もいなかった点と、本試験はビスモデギブとイトラコナゾールを1対1で直接比較するよう計画されていない点が特筆されている。医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)」(2014;32:745-751、 PMID: 24493717)で、同氏らはイトラコナゾールが二次治療として有効であると証明され得ることを示唆している。

基底細胞癌は最も多く診断されるヒト癌であり、最も高額の医療費がかかる疾患の一つである。外科的切除は概ね治癒的であるが、患者は多数の腫瘍を有することが多く、治療に高額な費用がかかり、美容的転帰にも問題が出る。有病率が高いわりに、これらの腫瘍に対する非外科的治療法の医療ニーズは全く満たされていない。ほとんどの基底細胞癌の発生原因は、ヘッジホッグ経路の変異による活性化によるものである。最近認可されたビスモデギブ(ヘッジホッグ経路阻害剤)は、手術不能の腫瘍に対する治療法として有効性の高いことが示されている。ただし、有害事象、長期的転帰、治療費に関して、重大な懸念が存在する。もう一つの懸念すべき要因に、耐クローン性や疾患進行につながる補償変異(遺伝子変異)の発現率が高いことが挙げられる。

Kim氏らが実施した最近の研究で、一般に使用される抗真菌薬イトラコナゾールを投与すると、ヘッジホッグシグナル伝達が阻害されることが、試験管内および生体内の試験で示された。別の臨床的証拠から、イトラコナゾールが腫瘍サイズを縮小することも示唆されている。腫瘍サイズの縮小率はあまり大きくない(24%)が、本剤の安全性および薬価が、手術不能の腫瘍の長期治療とコントロールを実現可能にするという点で、本研究は貴重である。見捨てられた侵襲性の高い腫瘍を有する患者は、特に移植術を要するような症例において、容姿の変貌(鼻切除術、眼窩内容除去)や機能喪失を招く多数の手術を受けている。また、母斑性基底細胞癌症候群またはゴーリン症候群の患者は、重大な罹病状態につながる数百から数千の基底細胞腫を有する。現在実施中の試験で、こうした腫瘍に対する長期的なコントロール(抑制)を目的に、より低用量のイトラコナゾールにおける安全性および有効性を評価している。イトラコナゾールの効果が、ビスモデギブなどの分子標的薬を併用することで高まるのかどうか、そして両剤が疾患進行につながる補償変異の発現率を軽減させるのかどうかを見極めるのも大変興味深い。


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