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2012-10-31

ソース(記事原文):メドページ・トゥデイ

抗うつ剤入り洗口液が粘膜炎を減少させる

メドページ・トゥデイ(2012年10月31日)― ボストン発 ― 三環系抗うつ剤ドキセピンを含む洗口液は、普通の水よりも、頭頸部癌患者の粘膜炎の痛みを和らげるようだと、研究者らがここボストンで報告した。

ミネソタ州ローチェスター(Rochester, Minn)のメイヨー医大学(Mayo School of Medicine)医学部教授であるロバート・ミラー(Robert Miller)医師は、全米放射線腫瘍学会(American Society for Radiation Oncology, ASTRO)で、痛みを視覚的アナログ尺度で評価し、15分以内に水では1ポイント、ドキセピンでは2ポイント低下したと発表した。

疼痛緩和は約1時間後に反跳するまで続いた。しかし、4時間経過後でも、ドキセピン使用者の痛みはまだ1.5ポイント低下しており、水使用者と比較して約0.5ポイント低く、この差異には統計的有意性が認められた(P = 0.0003)。

「経口ドキセピン洗口液はプラセボと比較して、頭頸部癌治療を受けている患者の口腔粘膜炎に対する有効な治療法だと我々は考える」とミラーは、ASTRO主催の記者会見で語った。

ハリケーン「サンディ」の影響で午後の全体会議の中止が余儀なくされたため、午前の会見に続く全体会議は、月曜日、観客の目の前で生で行われる唯一の本会議となった。午後の本会議は空いていた宴会場で後で録音され、ホームページに投稿された。

ドキセピンは、うつ/不安神経症と中等度の掻痒症に対し米国で承認された三環系抗うつ薬である。小規模な予備試験で、全身療法として服用されるのではなく軽度の局所的な審美的治療として使用される場合、ドキセピンはがん患者の粘膜炎の痛みを軽減することが示唆された。

ミラーは、放射線や化学療法が誘発する口腔粘膜炎の痛みは、麻酔薬や従来の口内洗浄剤ではしばしば完全には緩和できず、重大な臨床的問題だと指摘した。「医師はこの痛みを和らげるために多くのさまざまな方法を使用するが、残念ながら、大半の治療法ではまだ多くの痛みが残る」とミラー。

ドキセピンの可能性を更に検討するため、研究者らは無作為試験を実施した。26の異なる機関に登録していた患者は、頭頸部癌に対する放射線療法と化学療法を受けていれば試験の対象となった。50グレイを超える放射線量が対象だった。

研究者らは2010年12月から2012年5月に155人の患者を登録し、そのうち140人が評価の対象となった。ベースライン要因は治療群に均等に分散していた、とミラー。

1から10までの視覚的アナログ尺度で4以上の口腔粘膜炎の疼痛がある患者は、1日目にドキセピンまたはプラセボ使用に無作為に割り付けられ、その後2日目にクロスオーバーされ、ドキセピンを必要に応じて4時間ごとに出された。患者は溶液で1分間口を漱ぎ、次いで吐き出すように言われた。ドキセピン溶液は5mlの水に25mgの薬剤を含んでいた。

「このソリューションは非常に簡単に混合できる」とミラーは述べた。それはメイヨーの薬局で混合し、この試験のために他のセンターに発送された。プラセボは普通の水であった。

研究では、両方の溶剤で痛みは最初の30分間減少したが、ドキセピンはその後も更に減少した。「ベースラインでの平均疼痛レベルは、視覚的アナログ尺度で5.5であった」とミラーは記者会見でメッドページ・トゥディ(MedPage Today)に語った。ミラーは尺度5.5を、患者が食べたり飲んだりする場合に特に経験する、中程度の痛みだと形容した。

患者が溶液を継続使用したいか否か尋ねられた際に、64%が継続使用したいと答えたが、これも有意であった(P = 0.002)。「ドキセピンは耐容性良好だったが、チクチク、ヒリヒリする不快な味がひどく、眠気も引き起こした」とミラーは述べた。「眠気が引き起こされる傾向があるため、夜寝る前にそれを使用することを選択した患者もいた」

デトロイトのヘンリー・フォード病院(Henry Ford Hospital)放射線腫瘍学長のべンジャミン・モヴサス(Benjamin Movsas)医師はメッド・トゥディに「粘膜炎は癌治療の副作用の中で、過小な扱いを受けている。生活の質にかかわるトップクラスの問題であるのにもかかわらずだ」

記者会見の司会を務めたモヴサスは「頭頸部手術と放射線、化学放射線療法を受けたどんな患者と話をしても、そのような患者は治療の結果粘膜炎となり、影響を受けていることがわかる」と述べた。「だからこれは非常に重要なのである。我々には有望と思われる解決策が今、実際にある。患者の生活に大きな違いを生むことができる」

研究の著者であるミラーは、ドキセピンを使用して癌以外の、他の口腔粘膜炎の疼痛を治療することができるかもしれないことを示唆した。

本研究は、「腫瘍学臨床試験連合(NCCTG / CALGB / ACOSOG)」を通じて行われた。

ミラーは開示がない。モヴサスは開示がない。

アクション・ポイント

・本研究は抄録として出版され、会議で発表されたものである。査読誌に掲載されるまで、これらのデータおよび結論は仮のものだと考えること。

・この第III相無作為化二重盲検試験では、頭頸部の放射線治療を受けている患者がドキセピン洗口剤を使用後、プラセボ洗口剤と比較して、口腔粘膜炎の痛みが有意に減少した。


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