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2011-09-13

ソース(記事原文):エイズマップ

抗HIV第一選択治療の効果は臨床試験と日常診療で同程度

エイズマップ(2011年9月13日)―転帰および予後

マイケル・カーター(Michael Carter)

第一選択抗レトロウイルス療法(ART)の効果は無作為化比較試験と日常診療で同程度であると、ジャーナル・オブ・アクワイヤード・イミューン・デフィシェンシー・シンドロームズ(Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes)オンライン版で研究者らが報告している。

研究者らは、AIDS臨床試験グループ(AIDS Clinical Trial Group : ACTG)で行われた試験の対象患者と、国際的な抗レトロウイルス療法コホート共同研究(Antiretroviral Therapy Cohort Collaboration : ART-CC)のモニタリング対象者のウイルス学的転帰および臨床転帰を比較した。

「ACTGの臨床試験でみられたARTの成績の差がART-CCの日常診療現場でみられた差と相関していたという我々の所見は、結果の一般化の可能性を示唆しており、臨床試験と、より幅広い患者集団への結果の適用性との間に重要な繋がりを提供している。」と論文の著者らは述べている。

無作為化比較試験は根拠に基づく医療の基礎であり、その結果は抗HIV治療ガイドラインの作成に役立っている。

しかし、そのような試験には厳しい組み入れ基準がある。さらに、試験に登録された患者は、日常診療で抗HIV療法を利用する患者よりも集中的なモニタリングとサポートを受ける。このため無作為化比較試験でみられることの多い印象的な結果は、一般的な臨床現場には適用されない可能性があるという懸念が存在する。

こうした制限のため、研究者らは、2件の大規模ACTG試験への登録時に複数の治療計画を開始した患者の転帰と、ART-CCにおいて同一の多剤併用療法を受けた対象者の転帰を比較した。

「我々の知る限り、今回の研究は、臨床試験対日常診療として、そのいずれかを通じて治療を受けた患者における最新のARTを対象とした、初の大規模な治療法レベルでの比較である。」と、著者らは述べている。

分析の対象とされたACTG試験は、第一選択治療としてアバカビル、ジドブジン(AZT)、ラミブジン(3TC)の併用とエファビレンツ、AZT、3TCの併用を比較検討した5095試験、またエファビレンツをベースとした治療とロピナビル/リトナビルをベースとした治療を比較検討した5142試験であった。

これら試験において24週目と48週目にウイルス量が検出不能レベルとなった患者の割合を、ART-CCでみられた割合と比較した。また研究者らは、AIDSへの進行と死亡リスクの比率についても比較した。

ACTG試験とART-CCにおける患者の基本特性は、おおむね同程度であった。ただし、ART-CCの追跡対象者は、ACTG試験の対象患者よりも女性が多少多かった。

調整後の解析から、5095試験におけるエファビレンツ群のウイルス学的失敗リスクは、アバカビル群に対しておよそ半分であることが明らかにされた(オッズ比(OR)=0.53;95%信頼区間(CI)0.36-0.79)。ART-CCにおいても、アバカビルに対するエファビレンツの優位性は同程度であった(OR=0.46;95%CI 0.37-0.57)。

エファビレンツまたはロピナビル/リトナビルをベースとした治療についても、ウイルス学的効果は5142試験とART-CCで同程度であることが明らかにされた(調整後、48週時点での失敗リスク0.97;95%CI 0.71-1.00対0.87;95%CI 0.45-1.69)。

同様に、ACTG試験でみられた臨床転帰は、ART-CCでみられた転帰とおおむね同程度であった。

5095試験とART-CCいずれにおいても、AIDS発症率および死亡率はエファビレンツ群のほうが低かった(OR=0.60;95%CI 0.26-1.41対0.73;95%CI 0.54-0.99)。

5142試験とART-CCにおけるAIDS発症率および死亡率は、エファビレンツ群とロピナビル/リトナビル群で同程度であった(OR=0.95;95%CI 0.40-2.30対0.88;95%CI 0.73-1.06)。

また48週後の死亡リスクに限定した解析から、各ARTの有効性はACTG試験とART-CCで同程度であったことも明らかにされた。

「HIV感染症に対する抗レトロウイルス療法を開始する患者において」、研究者らは「ACTG 5095試験とACTG 5142試験において比較検討した各ARTのウイルス学的効果および臨床効果の差を、ART-CCの日常診療で行われた同一治療法について比較したところ、認められた差は同程度であった。」と述べている。

また「我々の研究は、臨床試験および大規模コホート研究において検討した各抗レトロウイルス療法の相対的有効性を示す重要かつ新たな証拠を提供しており、この研究は日常診療においてHIV感染患者に対し決定したARTを説明するのに役立つと確信している。」と結んでいる。


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