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2009-08-17

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

新たな発見が寄生回虫症の感染を食い止めるのに役立つかもしれない

ScienceDaily(2009年8月17日) — 寄生回虫駆除に有効な中国製の薬がある。カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California at San Diego)の生物学者らは中国の研究者らと共同でこの薬の作用機序を解明した。

この薬の生物学的機序が解明されたことで回虫症とどう戦うかについて重要な新しい情報が得られる。熱帯地域では10億人以上が回虫症に感染しており、発展途上国の人々が衰弱する主要な原因のうちの1つとなっている。研究者らは今回の発見の詳細を購読料無料のオンライン科学誌、PLoS Neglected Tropical Diseases最新号に掲載する。

腸管に寄生する回虫には鉤虫、鞭虫などがある。─前者は世界中で7億4000万人─そして後者は7億9500万人もの人々に寄生していると推定されている。人々を衰弱させるという意味で回虫症全体が人類に及ぼす影響力は、公衆衛生当局によればマラリアや結核の深刻さに勝るとも劣らないものである。しかし回虫症と効果的に戦うための医薬品はほとんど開発されてこなかった。

「大勢の人に1回ずつ薬を投与するのですが、実用的な理由から、現在広く使われているのはアルベンダゾールという薬1種類だけです。」今回の研究チームを率いたカリフォルニア大学サンディエゴ校(前出)生物学科のラフィ=アロイアン教授(Raffi Aroian)は語る。「しかし治療の必要な人が膨大な数に上りますし、回虫症は再感染率が高いので何度も投与しなければいけません。その結果回虫がアルベンダゾールに対する耐性を獲得してきており、大規模な駆虫活動を行う上で深刻な脅威となっています。」

そして教授はこうも言った。「この中国製の薬、トリベンジミジンを研究していますが、臨床的な効果はアルベンダゾールと同じくらい高いように思われます。」
トリベンジミジンを開発したのは上海にある中国疾病管理予防センターである。しかしまだヒト用医薬品としての認可は受けていない。最近中国とアフリカでヒトに対する臨床試験が行われ、同薬は鉤虫を含む一部の回虫に効果があるとわかった。しかし同薬が回虫を駆虫する生物学的機序や、回虫が同薬に対する耐性を獲得する際の生化学的経路についてはあまりわかっていない。
「ある種の生物は進化して薬に対する耐性を獲得する能力がありますが、この進化を防ぎ、検出し、うまく対処していくためにはこういった情報が欠かせないのです。」アロイアン教授は言う。「トリベンジミジンを大勢の人たちに安全に投与し、他の薬とどう併用するか判断するためにも重要です。」

教授の研究室に所属する中国出身のヤン=フー博士研究員(Yan Hu)は、上海の中国疾病管理予防センターのシュー-ファ=シャオ教授(Shu-Hua Xiao)と連絡を取り、2年に渡る一連の研究を開始した。実験用回虫である線虫シノラブディス・エレガンスを使ってトリベンジミジンの作用機序を決定するためである。

フー博士はまずトリベンジミジンに耐性を持つ遺伝変異体を作製し、続いて回虫症治療に使われる他の2種類の薬─レバミソールとピランテルにそれぞれ耐性を持つ変異体を分析した。そして博士はこれら3種類の変異体全てが同じ遺伝的異常を持つことを発見した。つまりこの線虫が各薬剤に対する耐性を獲得する生化学的経路はよく似ているということだ。一方、アルベンダゾールに対する耐性を持つ変異体は全く異なる遺伝的異常を有していた。

レバミソールとピランテルの回虫に対する駆虫効果はアルベンダゾールと比べかなり劣る。そのため前2者は大規模投与の際の第一選択薬ではない。一部地域では回虫がアルベンダゾールに対して耐性を獲得してきている。既に獲得してしまっている地域もある。しかしフー博士と共同研究者らの研究結果が示しているのは、アルベンダゾールの代わりにトリベンジミジンを使えばこれらの地域でも効果的な治療ができるかもしれないということだ。トリベンジミジンとアルベンダゾールは生物学的な駆虫機序が異なることから、両者を併用することで回虫に対する駆虫効果が高まる可能性があると研究者らは語っている。
「トリベンジミジンはアルベンダゾールと少し違うどころではありません。」アロイアン教授は言う。「属する薬物分類が全然違うんです。トリベンジミジンはピランテルやレバミソールと同じ分類に属する、アルベンダゾールとは違う薬ですが、アルベンダゾールと同程度の駆虫効果を持ちます。このことはこの新薬トリベンジミジンの使用に対する安心感を高めることになるでしょう。」
今回の研究は米国国立衛生研究所から助成金を受けた。


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