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2015-09-03

ソース(記事原文):MNT

治療抵抗性高血圧の治療にはスピロノラクトンがダントツ

【MNT】(2015年9月3日)

パス2試験の結果によると、3剤(治療抵抗性高血圧)を組み合わせて治療しているにもかかわらず血圧の管理が良好でない患者は、利尿薬のスピロノラクトンを追加することで、ほかの血圧降下薬を追加するよりもはるかにいい効果があらわれたそうだ。

ヨーロッパ心臓学会(ESC)2015で発表されたホットラインの結果では、スピロノラクトンは「ダントツであり、治療抵抗性高血圧の治療に追加すべき第一選択薬である」と示唆された、と研究員のブライアン・ウイリアム博士は語っている。

「この結果には、広範な国際的関連性と適用性がある」とロンドン大学ユニバーシティカレッジと英国高血圧研究会に在籍しているウイリアム教授は指摘した。

「スピロノラクトンはビスプロロールやドキサゾシンと比較して圧倒的にすぐれた効果を発揮する血圧降下薬であり、また例え基本的な利尿薬療法を受けている人であっても、治療抵抗性高血圧の主な潜在的要因はナトリウム貯留であることをこのパス2試験は示唆しています。この結果は治療抵抗性高血圧の薬物治療に対して、将来の治療ガイドラインと治療法に世界的な影響を与える明らかな優先順位を初めて確立したのです」。

治療抵抗性高血圧は、最低3剤の血圧(BP)低下薬による治療でも血圧をコントロールできない状態、と定義されている。

パス2試験の以前は、血圧をコントロールするのにもっとも適した追加薬を推奨を裏付ける強い根拠がなく、またウイリアム博士は「治療抵抗性高血圧における血圧のコントロールは現存の薬物治療では不充分だ、という認識が広まっているのです」と説明している。「ところがパス2は、何十年もわたって普及している薬が、実は大部分の患者のコントロールが可能であることを示したのです」。

治療抵抗性高血圧の発症機序はよくわかっていないが、ここ数年における利尿薬投与量の減少の結果、ナトリウム貯留と関係があるのではないかとの仮説がある、と彼は言う。

パス2では異なる作用機序を持つ2種類の抗高血薬、すなわち動脈抵抗を低下させるドキサゾシンと心拍出量を減少させるビソプロロールによる治療と比較して、スピロノラクトンを追加の利尿薬として加えるのが血圧を下げるのにもっと効果的ではないか、ということを調査した。

研究には、ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、カルシウムチャンネル遮断薬、そしてチアジド系利尿剤の3剤の最大耐性量の組み合わせで既に治療している治療抵抗性高血圧の患者も含まれた。「重大な問題は、血圧をコントロールするにはどの薬を加えるべきか、ということなのです」とウイリアム教授は言う。

コントロール不良の血圧は座位状態で病院での最高血圧が、糖尿病でない人で140mmHg以上、糖尿病の人で135mmHg以上の患者、および家庭における最高血圧が両者とも130mmHg以上の人と定義されている。

基本の血圧治療に加え、患者たちはスピロノラクトン(25-50mg)、ビスプロロール(5-10mg)、ドキサゾシン(4-8mg放出調節)のいずれかの12週継続投与群とプラセボ群に無作為に分けられた。

血圧は、治療開始前および6週目と12週目、自動血圧測定器を使用して病院および自宅において4日連続で計測し、記録した。

主要エンドポイントは各治療法のいずれも家庭平均最高血圧(HSBP)で、病院での平均最高血圧は二次エンドポイントであった。

314人の患者において、プラセボ群(8.7mmHg減,P<001)と比較してスピロノラクトンはHSBPの管理にもっとも優れていた。ドキサゾシン(4.03mmHg減,P<0.001)、ビソプロロール(4.48mmHg減,P<001)、同様にドキサゾシンおよびビソプロロール法(4.26mmHg減,P<0.001)

全体的に、その約60%が血圧コントロールの数値が厳しかった(P<0.001)コントロール不良血圧患者の約4分の3がスピロノラクトンの服用で血圧に大きな改善がみられた。ビソプロロールおよびドキサゾシンが最適だった人はそれぞれ17%と18%であったが、スピロノラクトンは60%の人で血圧を下げるのに最適な薬であった。

家庭ではみられなかった大きなプラセボ効果が病院でみられたことを除き、病院での測定は家庭での測定に酷似していた。

「これは、患者の主要転帰として病院血圧ではなく家庭血圧を使用した最初の研究です」とウイリアム教授は述べている。「プラセボ効果を減少させただけではなく、病院の不安から血圧が誤って上昇する“白衣高血圧”を持つ人を除外しているのです」。

その結果は「抵抗性高血圧は薬剤治療では適切に治療できないという概念に挑み、そしてナトリウム排泄を促進する利尿作用を持つ薬による治療はいちばん効果的かもしれない、ということを示唆しました」と彼は締めくくった。

同じホットラインセッションで発表されたパス3試験は、英国高血圧協会内の学術研究員が取り組んだ高血圧試験のパスウェイプログラムの一部で、ケンブリッジ大学のモーリス・ブラウン教授、ダンディー大学のウイリアム教授、トム・マクドナルド教授が先導している。


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