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2006-12-11

ソース(記事原文):BBCニュース

精神展開薬:強迫性障害治療の希望の星

2006年12月11日

ジャーミー(仮名)が最後にバスケットボールに触れてから、もう何年も経っていた。

彼は、強迫性障害を患っているため、汚れや細菌が体に付くのを恐れていた。足の裏に触れる靴底以外、地面に体が触れるのを嫌っていたのである。

しかし、強迫性障害患者に対するプシロシビン(マジックマッシュルームに含まれる幻覚誘発物質)の効果を測るために行われた小規模の臨床試験に参加中、ジャーミーは裸足で床の上に立ち、運動がしたい、ボールで遊びたいと言い出したのである。この数時間前の彼であれば、そんなことは汚らしいと嫌悪していただろう。

その後、ジャーミーに強迫性障害の症状が徐々に戻ってきたのだが、他の患者にも強迫性障害の一時的な緩和がみられた。その中には、強迫性障害の寛解期が6カ月以上も続いた人もいた。

アリゾナ大学精神医学部准教授であり、当該研究の主任研究員であるフランシス・モレノ博士は、「この臨床試験が、参加者に寛解期をもたらしたのだと信じている」と述べた。

これは、プシロシビンの治療効果を調査し、その結果を発表した、過去30年間で初めての研究である。

大きな疑問

しかしながら、多くの評論家は、この研究は間違った方法で行われたため、強迫性障害に対しプシロシビンが有効であるとの結論には至らない、と口々に述べた。中には、この研究の存在自体を疑う人もいた。

ロサンゼルスのカリフォルニア大学に勤めるジェフリー・シュバルツ教授は、「多くの人がこの研究に興味を示すだろう。そして強迫性障害治療の‘魔法薬’の誕生を期待する声が多くの患者から上がるだろう」と述べた。

ただ、研究報告を記した著者は、当該研究の主な目的は、プシロシビンの安全性を実証するためのものであった、と述べた。

モレノ博士は、「今後もこの研究を続けるに足る結果が得られたのか?と尋ねられたら、適切に管理された試験が必要であることを証明する興味深い結果がある、と答える」と述べた。

多い患者数

合衆国内には、およそ600万人の強迫性障害患者がいるとみられている。これは、恐怖症、鬱病、そしてアルコール依存症に次ぎ、4番目に患者数の多い精神障害である。

強迫性障害は、手洗い、確認、又は数の確認を必要以上に行う等の反復性行動又は儀式的行為に特徴づけられる不安障害である。

強迫性障害を患う人々は、侵入思考に悩まされる。侵入思考は、患者が望まない性的空想を起こしたり、他人に暴力を働いてしまうのではないかという思いに駆られてしまう等、多岐にわたる。

強迫性障害の原因は不明ではあるが、その治療は可能である。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるフルオキセチンプロザック)や三環系抗鬱薬であるクロミプラミンは、強迫性障害治療に一般的に用いられており、その効果も高い。上記のいずれかを服用した患者の60%に、症状の改善がみられた。

その薬を用いた治療と認知行動療セラピーが並行して行われた場合、より多くの患者の症状の改善に繋がる可能性が高い。

認知行動療セラピーとは、一種の精神療法であり、今現在、患者が悩まされている症状の改善を主な目的として行われる。軽い強迫性障害の治療に、始めに用いられる。

再発

しかし、選択的セロトニン再取り込み阻害薬や三環系抗鬱薬による症状の改善がみられた患者の半数は、薬の服用を止めた後の強迫性障害の再発に悩まされ、そのうちの4分の1の患者には、従来の治療法が効かないのである。

薬物治療が効果を上げている場合でさえ、症状の30%から50%の改善が関の山である。

仮に認知行動療セラピーや薬物療法で効果が得られないとしたら、残された選択肢は、脳外科手術だけである。

強迫性障害治療の選択肢が多くないこと、そして幻覚薬を服用した患者が寛解期にある事等をまとめた事例報告があることから、モレノ博士率いる研究チームは、9人の患者にプシロシビンを処方することを決断した。これらの患者は、他の治療法では効果が得られなかった人々である。

プシロシビンの服用量を最小に抑えたにも関わらず、服用後最長で24時間、強迫性障害の症状に著しい改善が、これらの患者に確かにみられた。

しかしながら、別の医薬品を服用したグループや医薬品を一切服用しなかったグループ等、上記のグループと比較するべきグループが存在しないことから、今回みられた症状の改善は、研究者達が患者に付き添い、注意深く見守った結果である可能性もある。

受容体

プシロシビンを服用すると、精神が異常に高揚する。

この研究中、プシロシビンを服用した患者は、幻覚体験は時折「ストレスが溜まる」が、「精神的・心理的高揚感(具体的には前世を体験している感覚、地球から遠く離れた未知なる星にいる感覚、そして神々と交信している感覚)があると述べた。

しかし、被験者全員が、試験開始前に精神展開薬を服用していた。これは、研究者によると研究の安全性を高めるための処置であるとのことである。

しかし、Bootham Park Hospital成人精神科のコンサルタントであるポール・ブレンキロン博士は、「今回の研究では、服用後24時間以内の薬の効果しか測られていないことが気になる。強迫性障害は、慢性的な障害であるため、薬の効果は時間単位や日にち単位では測れない。月単位、又は年単位で測られるものである」と述べた。

「精神展開薬を10回未満服用した人々の約12%が、服用から数年後(今回の研究期間は、ほんの6カ月間しか行われなかった)にフラッシュバックに悩まされる傾向にある。このことから、精神展開薬の長期的な効果については、慎重に測る必要がある」

しかし、博士はこうも言っている。「他の治療による効果が得られない患者に対して、この物質が有効であり、且つ副作用がほとんどみられなかったということであれば、それも治療の選択肢の1つだろう」

今回の研究結果について、専門家も疑問を投げかけている。

「1年以内の自然寛解率は10%であることを頭に入れておくべきだろう」と不安障害センターモーズレー病院のポール・サルコブスキス教授は述べた。教授は、強迫性障害患者に向精神物質を与えることが本当に安全なのか、疑問を持っている。

「強迫性障害を患うと、自分の子供に性的虐待を行っている場面や他人を刃物で刺している場面などの酷いイメージが次から次へと沸いてくる。これを経験している人々が幻覚を引き起こす薬を与えられるということに、私は大きな懸念を抱いている」


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