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2011-09-16

ソース(記事原文):メドページトゥデイ

欧州糖尿病学会(EASD):糖尿病治療薬「グリプチン系薬剤」が心臓を救う可能性

メドページトゥデイ(2011年9月16日)―この報告は、12カ月クリニカル・コンテクスト(Clinical Context)シリーズの記事の1つです。

著者:メドページ・トゥディ(MedPage Today)寄稿ライター(Contributing Writer)、エド・サスマン(Ed Susman)

レビュー:カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部准臨床教授(Associate Clinical Professor of Medicine, University of California, San Francisco)ロバート・ジャスマー医師(Robert Jasmer, MD)、およびドロシー・カプト(Dorothy Caputo)MA, RN, BC-ADM, CDE, ナースプランナー(Nurse Planner)

リスボン-2型糖尿病患者を対象としたジペプチジルペプチダーゼ‐4(DPP-4)阻害薬に関するさまざまな研究について、心血管リスクの可能性を検討したところ、研究者らは驚くべき発見をした。いわゆるグリプチン系薬剤による治療は、心臓を保護するようである。

イタリア・フィレンツェにあるカレッジ教育病院糖尿病局(Diabetes Agency at Careggi Teaching Hospital)の責任者エドアルド・マンナッシ医師 (Edoardo Mannucci, MD)の報告では、計33,000人以上の患者を組み入れた53の臨床試験の結果を検討したところ、グリプチン系薬剤投与群の主要心イベント発現の相対リスクは30%低いことが明らかにされた。

「これは予想外の驚くべき結果でした。」欧州糖尿病学会(European Association for the Study of Diabetes : EASD)年次総会の代表者らに対し、マンナッシ氏は学会最終日に行われた発表の1つでこのように話した。

また「今回のメタ分析の結果は心血管イベント予防の可能性を示唆しており、臨床レベルでのデータを基にこれまで報告されたメタ分析の結果と一致しています。」とも述べている。

さらに驚いたのは、52週に満たない短期試験の報告からも「いくつかの特殊な心血管保護作用の可能性を示す有意な結果が得られた」ことであった。

マンナッシ氏と同僚らは、新規糖尿病治療薬が心血管に及ぼす影響について製薬会社は評価を行うこととした米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration : FDA)の求めに応じ、今回のメタ分析を行うことにした。

ロシグリタゾン(アバンディア)の心血管リスクやダパグリフロジンの発癌リスクに関する最近の懸念が、糖尿病治療薬の有害作用についてさらに厳しく長期的な調査を行うよう規制当局に拍車をかけた。

FDAは製薬会社に対し、新規糖尿病治療薬の心血管イベントリスクの増加が、プラセボや他の糖尿病治療薬に対して30%にとどまることを確認するよう希望している。

マンナッシ氏は、これまでのグリプチン系薬剤投与に伴う心血管疾患発症について検討することにした。同氏は、ビルダグリプチン(ガルバス)、シタグリプチン(ジャヌビア)、サクサグリプチン(オングリザ)、アログリプチン(ネシーナ)、リナグリプチン(トラジェンタ)、デュトグリプチンに関して発表された臨床試験を対象として、メドライン(MedLine)およびエンベース(Embase)から論文を収集した。マンナッシ氏ら研究者が対象としたのは、2011年3月までに報告されたすべての試験であった。同様にクリニカルトライアルズ・ドット・ゴブのウェブサイト(www.clinicaltrials.gov)に掲載されていた未発表の試験記録も入念に調べた。

ほぼ400件の文献や記録について検討したところ、引用可能であることが判明したのは53件で、それらは2型糖尿病患者を対象に試験が少なくとも24週間行われ、プラセボまたは他の糖尿病治療薬を比較対照としたグリプチン系薬剤に関する無作為化臨床試験のデータであるという基準を満たしていた。

53の試験全体で、グリプチン系薬剤群は20,132例、比較対照群は13,569例が登録されていた。研究者らは、そのうち42の試験から心血管イベントの報告を見つけ、そのイベント発現数はグリプチン系薬剤群で137件、比較対照群で120件であった。

マンナッシ氏の話では、主要心血管イベント発現リスクを算出したところ、グリプチン系薬剤群のリスクは比較対照群よりも31.1%少なかった(P=0.006)。

実施期間が1年未満の試験の場合、グリプチン系薬剤群のイベント発現リスクは比較対照群よりも37.4%少なかった(P=0.008)。

また同氏は、大半のメタ分析と同じく今回の研究には制限があり、グリプチン系薬剤の長期使用は有害な影響を及ぼすという可能性を排除できなかったと話した。ただし、どのデータ調査方法でも、グリプチン系薬剤による治療は心血管イベントをおよそ30%減少させたと述べている。

「この研究は励みになりますし、安心感を与えてくれます。」セッション・モデレーター(session moderator)で、デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のキャロライン・ディーコン医師(Carolyn Deacon, MD)はこう述べた。同氏はメドページ・トゥディに対し、「複数の臨床試験がその方向に向かっているようでしたから、私は今回の結果に驚きませんでした。」と語った。

マンナッシ氏は、アストラゼネカ社(AstraZeneca)、ベーリンガーインゲルハイム社(Boehringer Ingelheim)、イーライリリー社(Eli Lilly)、メルク・シャープ・アンド・ドーム社(Merck, Sharp and Dohme)、ブリストル・マイヤーズスクイブ社(Bristol-Myers Squibb)、ノバルティス社(Novartis)、武田薬品(Takeda)との間に利益相反があることを開示した。

ディーコン氏は、ノバルティス社、ブリストル・マイヤーズスクイブ社、武田薬品、グラクソ・スミスクライン社(GlaxoSmithKline)、メルク社(Merck)、アストラゼネカ社、プロシディオン社(Prosidion)との間に利益相反があることを開示している。


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