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2010-06-10
ソース（記事原文）：サイエンスデイリー
痛風治療薬は腎臓病患者に有益であるとの解析結果
サイエンスデイリー(米科学誌[2010年6月10日])— 米国腎臓学会誌(クリニカル・ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ソサイエティ・オブ・ネフォロロジー)に近日掲載される予定の解析によれば、痛風の治療によく使用される薬剤が、腎臓病患者の健康を維持するのに有用となる可能性があるという。
本研究は、慢性腎臓病(CKD)患者に対しアロプリノール治療を行うことにより、炎症の抑制、腎臓病の進行の遅延、心血管イベント発症リスクまたは入院リスクの低下が生じることを示す初めての研究である。
アロプリノールは、主に血中の尿酸の産生が過剰になる患者(高尿酸血症)の治療に用いられる薬である(同剤により尿酸の産生に関与する酵素が抑制される)。高尿酸血症は、痛風の原因となるものであり、極端な例では腎不全にいたることもある。血中尿酸値の上昇は、高血圧と心臓病の発症リスクを増加させる可能性もある。心臓病に起因する死亡が最も多い慢性腎臓病患者は、尿中尿酸排泄が少なくなることで、高尿酸血症を生じることが多々ある。しかし、同患者に対するアロプリノールの有益性が検討された研究はなかった。
マリアン・ゴイコエチェア(Marian Goicoechea)博士とホセ・ルニョ(Jose Luño)博士(スペインのマドリッド市にあるグレゴリオ・マラニョン総合病院[Hospital General Universitario Gregorio Marañón]に所属)は、前向きな無作為化試験を実施し、113人の慢性腎臓病患者を対象に、アロプリノール(100mg/日)を投与するか、もしくは通常治療を継続した。同研究者らは、試験参加者を対象に2年間にわたり腎臓病の進行、心血管イベント(心臓発作など)、入院について評価した。
尿酸およびC反応性蛋白(炎症マーカー)の血中濃度が、アロプリノールを投与した患者で有意に減少した。対照群では、2年後に腎機能が低下したのに対し、アロプリノール投与群では腎機能に改善がみられた。アロプリノール治療は、患者の年齢、性別、糖尿病状態のほか、尿酸およびC反応性蛋白の血中濃度、尿中蛋白排泄量、患者が使用した他の種類の薬剤に関わることなく、腎臓病の進行を遅延させた。さらに、通常治療群と比較して、アロプリノール治療群では、心血管イベントのリスクが71%減少し、入院リスクが62%減少した。
アロプリノールは、慢性腎臓病患者に対し有意な潜在的利益を有するとはいえ、「これらの結果は、より大規模な前向き試験で裏付ける必要があり、未だ検証しなければならない仮説の基盤である」と著者らは記している。
研究共著者は、グレゴリオ・マラニョン総合病院のソレアダ・ガルシア・デ・ビヌエサ(Soledad García de Vinuesa)氏、ウルスラ・ベルダイェ(Ursula Verdalles)氏、カリダ・ルイスカロ(Caridad Ruiz-Caro)氏、ハラ・アンプエロ(Jara Ampuero)氏、アブラム・リンコン(Abraham Rincón)氏、ダビド・アロヨ(David Arroyo)氏らである。
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