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2011-10-25

ソース(記事原文):ニューズワイズ

重度高山病の主要な危険因子を研究者らが特定

ニューズワイズ (2011年10月25日) ― フランスの研究者らが行った研究によると、特定の運動関連反応を測定することが、内科医らが重度高山病(SHAI)に罹るリスクの高い人を見極める判断材料になる。さらに研究者らは、アセタゾラミド(ACZ)という高山病防止の為にしばしば処方される薬を飲むことでSHAIと関連性のある危険因子が減ることも発見した。

これらの発見は、米国胸部疾患学会(American Thoracic Society)の米国胸部疾患学会誌(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine)冊子版に先立ちオンラインで発表された。

研究者らが特定した3つの運動関連の要素は、運動時酸素不飽和化(Sae)、運動時低酸素心臓反応(HCRe)、運動時低酸素換気反応(HVRe)である。Saeは運動時の血中酸素量の測定、HCReは低酸素状態での運動に対する心血管反応の測定、そしてHVReは低酸素状態での運動時に起こる呼吸器官の変化(特に、速い呼吸)を意味する。研究者らは、高山の環境を真似てコントロールされた低酸素状態の研究室でこれらの因子を測定した。

「これらの研究結果は、HCRe やHVRe、そしてSaeの著しい低下がそれぞれ独立したSHAIの危険因子であり、また、Saeと HVReの低下はSHAI発症のリスクを正確に予測するために利用できるということを示唆しています」と、パリ第13大学の生理学教授ジャン・ポール・リシャレット(博士、医学博士)は語った。

「以前に低酸素に対する反応を測ったことがあって、高所障害に晒されている検体に関する疫学としては、今のところこれが最大の研究です」と、教授は付け加えた。

研究者らは、高山登頂(標高4,000メートル以上で最低3日以上過ごし、かつ標高3,500メートル以上で夜間睡眠をとるもの)へ向う前に診察を受けた1,326人の男女からデータ収集を行った。被験者らは、本人と家族の病歴や、普段の身体活動や登山活動、その他の因子についてのアンケートに回答しこれらの情報を提供するよう求められた。 次に、被験者らは4種類各4分間の所定の低酸素運動テストを受けた。内容は、通常酸素量で休憩、低酸素で休憩、低酸素で運動、通常酸素量で運動の4種である。この運動テストの間、研究者らは心拍、呼吸、血中酸素濃度を測定した。

高山登頂の後、被験者らはアンケートで、高所肺水腫(肺組織の膨張:HAPE)や、高所脳浮腫(脳組織の膨張:HACE)や、頭痛、吐き気、疲れ、目まい等の諸症状を含む重度の急性高山病の症状を経験したかどうかを尋ねられた。被験者はACZを服用したか否かも示すよう求められた。

1,326人のアンケート回答者のうち、318人が高山登頂中に重度の高山病に罹ったと報告した。その内、ACZを服用したのは105人、服用しなかったのは213人であった。

これらの結果を利用し、研究者らは登山前と登山中に報告されたどの因子がSHAIと関連しているのかを特定することができた。また、研究者らはSHAIの発症段階におけるACZの効果も断定することができた。

「ACZを服用しなかった人々の中では、年齢が若いこと、女性であること、偏頭痛歴、普段の身体活動、重度高山病歴、急激な標高の上昇、HCRe、著しいSae とHVReの低下がSHAIと大いに関係があることを我々は発見したのです」と、リシャレット医師は語った。「地理学的には、インドにあるラダック地方がACZを服用していない人たちのSHAI発症リスクの高さと関連付けられました」。

ACZ を予防薬として使用した回答者の間では、年齢が若いこと、女性であること、偏頭痛歴、普段の身体活動、HCRe、著しいSae とHVReの低下、そしてアルプス山脈はもはやSHAI とは重大な関連性がないことにリシャレット医師は注目しているが、ラダックはぎりぎり重要関連事項に留まった。SHAIの発症歴と、急激に登ること、そしてHVReはACZ服用者の間でもSHAIと関連付けられたが、その関連性はACZを服用していない人々と比べると弱かった。

研究者らはさらに、ACZの予防薬的使用によりSHAI発症リスクが44%減ったことを発見した。

「この研究は二重盲検法やプラシーボコントロール検法ではなかったものの、膨大な検体における高所関連障害に対するACZの予防的使用の効果を裏付けるものです」とリシャレット医師は語った。「ACZの予防的使用は、SHAIに罹りやすい患者でも罹りにくい患者でも同じようにそのSHAI発症リスクを減らしてくれるかもしれないと、これらの研究結果は示唆しています」。

また、この研究は頻繁な身体活動とSHAI発症リスクの増加を関連付けた。リシャレット医師によると、この結果は、運動中に酸素を吸収する身体能力を高めても、高山登頂の成功を意味するものではないという登山のエキスパートたちの常識を支持するものであるという。

「だからといって、もちろん高山を訪れる前にトレーニングをするなというわけではありません。しかし、集中的な有酸素運動を行っても高山障害の予防にはならないことは理解しておかなければなりません」と、同医師は語った。

登山をする地理学的位置とSHAIとの個別的な関連性を指し示したのはこの研究が初めてである。

「全ての危険因子を総合判断すると、特に登頂ペースと、ラダックという場所がACZ服用者・非服用者両者におけるSHAI発症リスクの高さと関連付けられます」と、リシャレット医師は語った。「天候か地形の難しさか、はっきりした説明はありませんが、この土地の高山病発症リスクが高いことが非公式で多く報告されています」。

SHAIに関するこれまでの研究はこれからの高山病研究に関する最高の予言であるが、研究結果によると特に初めて高山登頂をしようと計画している人々に対しては低酸素運動テストを行った方が良いと、リシャレット医師は語った。

「これらのSHAIの症例が身体的特徴に起因するものなのかを判断するためには、このテストは、高所に関する経験がなく潜在的な危険因子に関する知識に欠ける初心者と、過去に重度の症状を経験したことのある人々両方をターゲットにするのが理想です」と同医師は語った。「そしてもちろん、標高の高い地域を訪問する際、重度の症状を回避するにはゆっくりと登るのが一番であると強調しなければなりません。ゆっくりとは、登山中、標高3000メートル以上の場所では、二晩で標高差400メートル以内を登ることをいいます」。


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