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2012-10-17

ソース(記事原文):ワシントン大学ニュースルーム

集中治療室における血流感染が44%減少

ワシントン大学ニュースルーム(2012年10月17日)― キャロライン・アルバナス(Caroline Arbanas)著

病院の集中治療室における大規模研究により、患者を抗菌剤入り石鹸を用いて毎日沐浴させ、抗生物質軟膏を経鼻投与すると、薬剤耐性菌MRSAなどの危険な病原菌に起因する血流感染が44%減少することが明らかとなった。

また、有害となりうる細菌を集中治療室から排除する取り組みにより、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)保菌患者数が37%減少した。保菌患者にはMRSAに起因する疾患はみられなかったが、後の発病リスクや、細菌を他の人に広めるリスクがあった。

本研究結果は、サンディエゴで10月17日に開催された米国感染症学会週間(IDWeek、感染症の治療と研究にかかわる専門家会議)で発表された。

病院側は入院中に患者に起こる感染症を阻止することに絶えず注意を払う必要がある。これらの感染症は急激に広まり、最も重症な患者でリスクが極めて高い。病院スタッフが手洗いを怠らないことが不可欠である一方、多くの感染症は患者の鼻・皮膚の細菌によって生じる。

本研究は、米国民間病院チェーンHCA(Hospital Corporation of America)に属する市中病院を主とした43施設で治療された約75,000人を対象としたものである。セントルイスにあるワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)感染症部門の責任者の一人で医学部長のビクトリア・フレーザー(Victoria Fraser)博士は、本研究の計画と監修を手助けした。

MRSA感染症の減少について検証した戦略のうち最も有効性が高かったのは、一番単純で最も容易なものであったと言ってよい。集中治療室の患者にMRSA検査をして保菌者のみ治療するのではなく、むしろ集中治療室の全患者に消毒薬(クロルヘキシジン)含有の石鹸を用いた毎日の沐浴を行い、全員に抗生物質軟膏(ムピロシン)を5日間経鼻投与した。

ワシントン大学医学部と提携しているバーンズ・ジュウィッシュ病院の医学部長デイヴィド・ウォーレン(David Warren)博士は「全体として、今回の結果は極めて有望であり、興味深い」としている。「今回の結果は、危険な感染症の発生率を低下させるため、全米各地の集中治療室における多くの重症患者に適用できる可能性がある」

バーンズ・ジュウィッシュ病院では、既に集中治療室の全患者をクロルヘキシジン石鹸で毎日沐浴させている。フレーザー氏やウォーレン氏らによる研究により、バーンズ・ジュウィッシュ病院の内科・外科の集中治療室における患者において、抗菌性石鹸が病院関連の感染症を25%減少させることが示され、その後2009年に沐浴の日常的処置が実施されるようになった。

バーンズ・ジュウィッシュ病院の集中治療室や、その他の大半の病院の集中治療室では、ムピロシン軟膏を日常的に使用していない。抗菌性軟膏への耐性が存在する細菌は既に少数だが存在しており、集中治療室における広範な使用が抗生物質への耐性を加速しないか懸念されている。

ウォーレン氏は「今回の新規データに基づき、集中治療室にムピロシンの日常的使用を取り入れるかどうか評価するつもりである」としている。「軟膏を使用するならば、患者の抗生物質耐性について詳細に観察することになる」

通常は身体で無害に生存する抗生物質耐性細菌だが、集中治療室では多くの感染症を引き起こす。こうした感染症は患者に重篤な合併症を引き起こし、それにより入院期間が長引き、治療費が増し、死亡リスクも上昇する。この問題に対処するため、一部の州ではMRSA検査を義務付けているが、この分野の専門家は他にもっと有効な手段があるのではないかと疑問を呈している。

この新規研究の一環として、集中治療室の患者はMRSA感染症を減少させる3つの治療法のうちのいずれかに無作為に割り付けられた。1つ目の患者群にはMRSAの検査を行い、保菌者のみを隔離した。2つ目の患者群には、同様の検査を行い、保菌者のみを隔離したが、さらに身体からMRSAを排除する目的で、クロルヘキシジン石鹸を用いて毎日沐浴させ、ムピロシン軟膏を5日間経鼻投与した。3つ目の患者群は、MRSA保菌の有無を問わず、集中治療室の全員にクロルヘキシジンで毎日沐浴させ、ムピロシンを5日間投与した。

感染症の予防・診断・治療・疫学における専門家が結集するIDWeek総会で、この新規研究が議論されている。この総会は、米国感染症学会(IDSA:Infectious. Diseases Society of America)、米国医療疫学学会(Society for Healthcare Epidemiology of America)、米国HIV学会(HIV Medical Association)、および米国小児感染症学会(Pediatric Infectious Diseases Society)の合同で行われた。

本研究はDEcIDEプログラム(医療用品の使用における適正性に特化した評価プログラム)と、疾病対策予防センター(CDC)の予防プログラム(Prevention Epicenters Program、1U01 CI000344)の一環として、米国厚生省(US Department of Health and Human Services)の下部組織であるAHRQ(医療分野の研究と質向上を支援する部門)の医療関連感染プログラム(HHSA290201000008I)により助成された。

ワシントン大学医学部(Washington University School of Medicine)には被雇用医師およびボランティア医師が2,100人おり、同医師らはバーンズ・ジュウィッシュ病院 (Barnes-Jewish hospital)とセントルイス小児病院(St.Louis Children's hospital)の医師でもある。ワシントン大学医学部は米国内における医学研究・教育・患者ケアを担う主要施設の1つであり、現時点で時事系新聞USニューズ&ワールド・レポート(U.S.News & World Report)によって米国内で第6位にランクされている。ワシントン大学医学部は、バーンズ・ジュウィッシュ病院とセントルイス小児病院と提携しており、BJCヘルスケア(BJC HealthCare、医療ネットワーク)とつながりがある。


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