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2011-02-15

ソース(記事原文):サイエンス・デイリー

風邪の症状が亜鉛により軽減

サイエンスデイリー(米科学誌[2011年2月15日]) — コクラン・ライブラリー(Cochrane Library[英国国保が発行])に掲載されたシステマティック・レビューによれば、亜鉛の補充により、風邪に起因する疾患の重症度が軽減され、疾患の持続期間も短縮されるという。今回の結果は、風邪による欠勤(会社)や欠席(学校)の日数を短縮するのに有用となる可能性がある。

風邪による社会への影響はかなり深刻で、欠勤日数の約40%の原因となっているほか、子供らによる毎年数百万日という欠席日数の原因にもなっている。風邪に対し亜鉛が有効かもしれないという考えは、1984年に実施された研究に基づくもので、この研究では亜鉛のトローチ(口内錠)により、症状の持続期間が短じかくなる可能性が示された。それ以後は、臨床試験の結果に一致がみられず、効果に対する生物学的な説明はいくつか提唱されたものの、いずれも裏付けられていない。

今回のレビューは、1999年に行われたコクランのシステマティック・レビューを複数の新規試験データと併せ、更新したものである。1,360人を対象とした合計15件の試験データが含まれる。この結果によれば、風邪の症状が発現してから1日以内に亜鉛のシロップ剤、トローチ、または錠剤を服用すると、疾患の重症度が軽減し、期間も短縮されるという。7日目の時点では、プラセボ群よりも、亜鉛群において症状の消失が多く認められた。亜鉛のシロップまたはトローチを5ヶ月以上服用した小児では、風邪にかかる回数が少なくなり、欠席日数も減った。亜鉛により小児に対する抗生物質の使用も減少したが、このことは抗生物質の過剰使用が抗生物質耐性に影響を与えることから重要といえる。

主任研究者でありインドのチャンディガールのメディカル・エデュケーション&リサーチ(Medical Education and Research)研究科(Post Graduate Institute)のミーニュー・シン(Meenu Singh)氏は、「今回のレビューは、風邪に対する治療として亜鉛を用いる根拠を強化するものである」と述べた。「しかし、現時点では、亜鉛の適量、処方、または治療期間についてあまり多くは分かっていないので、一般的な推奨を行うことは依然として難しい」

今回のレビューから、今後の研究で特定の集団における亜鉛の有益性に着目すべきであることが示唆される。シン氏は「今回のレビューでは、健常者における亜鉛の補充を検討したにすぎない」と述べた。「一方、風邪の際に喘息症状が悪化する傾向がある人の喘息に対し、亜鉛の補充が有用となりうるかどうかを明らかにすることは興味深いと思われる」と続けた。また同研究者らは、亜鉛の欠乏が多いと考えられる低所得の国々において、さらなる研究を実施する必要があるとしている。