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2008-07-24

ソース(記事原文):BBCニュース

HIV治療薬により「余命が13年延長」

HIV治療が進歩したおかげで、HIV患者の余命が1990年代後半から平均13年延長したことが、研究で示されている。

つまり現在では、HIVは死病というよりむしろ実質的に糖尿病のような慢性疾患ということになる、と研究者らは語っている。この結果はランセット(医学誌)に報告された。

ブリストル大学(Bristol University )のスタッフを含む研究チームが、43,000人以上の患者について調査した。その結果、現在二十歳で診断を下された人は、その後49年間生きる見込みのあることが明らかとなった。

しかし、ヨーロッパと北アメリカからの研究者らが参加した抗レトロウイルス療法コホート共同研究(Antiretroviral Therapy Cohort Collaboration)では、一般的な平均寿命が約80歳なので、依然として余命は不十分との警告を発した。

HIVに対する抗レトロウイルス療法は、体内でウイルスの複製を遅らせることにより感染症そのものを攻撃する薬剤からなる。

この治療法は1990年代に導入されたものだが、それ以降も、有効性が高まり、忍容性も一層良好になっている。

高所得国において、抗レトロウイルス剤導入後の3期間(1996年-1999年、2000年-2002年、2003年-2005年)の余命を、同研究者らが調査した。2,000人を少し上回る患者が、調査期間中に死亡した。

1990年代に二十歳で診断された患者は、残り36年生きることが見込まれたが、2003年-2005年ではさらに13年延長したことが明らかとなった。

中間期にあたる2000年-2002年では、余命は41年であった。

成功

ジョナサン・スターン(Jonathan Sterne)研究教授は、「こうした進歩により、HIVは死病から長期的慢性疾患へと一変した。併用療法の到来前、死病は現実のことであった」と述べた。

こうした進歩は抗HIV薬の成功の「証拠」である、と同氏は補足した。一方、感染経過中に診断が遅れた患者では、余命がはるかに短かったとして、同研究者らは注意を喚起した。

テレンス・ヒギンズ・トラスト(Terrence Higgins Trust)健康増進部門の副代表マーク・トンプソン(Marc Thompson)氏は、「HIV治療薬は、HIV治療の初期から比べると随分と効果が高まっている」としている。

「これは目覚しい進歩だが、研究は今後も継続する必要がある。特に、薬剤耐性が発現し、治療選択肢が狭まってきている患者のために必要となる」

一方、同氏は、今回の研究から早期診断の必要性が強調されることも補足し、推定3分の1の HIV患者が、HIVに罹患していることを知らないと指摘した。

ナショナル・エイズ・トラスト(National Aids Trust)のデボラ・ジャック(Deborah Jack)氏は、「今回の研究により検診に訪れる人が増えることを願う一方で、HIVの徴候と症状の観察に関する教育を医師らに行う必要性がある」と述べた。

英国では日々何千人もがHIVと共に生きているなか、HIVが長期的疾患であるという事実に、社会の側も追いつく必要がある。

「HIVは、そう思われている程、恐れることでも恥ずべきことでもない」